JR東日本は、2017年10月14日にダイヤ改正をすると発表し、概要を明らかにしました。東北本線の黒磯-郡山間について、新白河で系統分割を実施します。黒磯駅での乗り換えは継続しますが、この運転系統は今後定着するのでしょうか。
黒磯駅構内を直流化
東北本線は黒磯駅以南が直流電化、以北が交流電化です。黒磯駅構内は直流と交流が混在していますが、JR東日本ではこれを直流に統一し、直流と交流の区分点を白河方に移す電力設備改良工事をしています。この工事は2017年度中に完了する予定です。
この工事が完成すれば、交流電車は黒磯駅に乗り入れることができなくなります。そのため、JR東日本では、2017年10月14日にダイヤ改正を実施し、交流電車の使用区間を新白河以北に限定することを発表しました。そのため、黒磯-郡山間は新白河駅で系統分割されます。
黒磯-新白河間には新たに交直流電車E531系とキハ110系気動車を投入します。E531系は5両編成とみられますので、利用者の多い時間帯を中心とした運用になり、閑散時間帯にはキハ110系が走るとみられます。
運転系統はどう整理されるのか
新白河駅では一部の列車を除き、黒磯方面の列車と郡山方面の列車を同じホームで乗り換えできます。また、黒磯-新白河間では利用者の少ない一部の列車が減便されます。
青春18きっぷや北海道・東日本パスの旅行者には、新白河駅での乗り換えが増えて、この区間の移動が少し面倒になりそうです。ただ、新白河駅は対面乗り換えですし、大きな不便はないでしょう。
今回のダイヤの詳細はまだ明らかではありませんが、「宇都宮-黒磯」「黒磯-新白河」「新白河-郡山」という形で系統分断が定着するとすれば、さすがに細かすぎる気がします。10月ダイヤ改正という時期も、最近では変則的なタイミングですし、今回のダイヤは暫定的になりそうな印象も受けます。
となると、黒磯駅改良工事完了後、最終的に運転系統がどのような形に整理されるのかが気になります。
新白河折り返しは恒久化か
JR東日本では、黒磯駅改良工事と同時に、新白河駅の構内改良も進めており、折り返し線の整備などを行ってきました。そこまでする以上、新白河折り返しは暫定的なものでなく、今後も新白河駅での系統分割が恒久化される可能性が高そうです。
新白河-郡山間の交流電車は郡山以北に直通できますし、現在も黒磯-福島の直通列車があります。そのため、新しい運転系統でも「新白河-郡山-福島」といった列車は運転されるでしょう。
E531系では輸送力過剰?
気になるのは黒磯駅です。これまで、全ての普通列車が黒磯駅で折り返していましたが、交直両用電車を投入することで、宇都宮-新白河間の直通運転が可能になり、「黒磯スルー」が実現できます。とはいえ今回のプレスリリースでは、宇都宮-黒磯間については触れられていませんので、直通運転が実施されるのかは不明です。
ただ、黒磯-新白河の2015年度の輸送密度は 2,397にすぎません。252座席のE531系では輸送力過剰にみえます。となると、輸送密度が15,413ある宇都宮-黒磯間との直通運転を見据えていると考えるのが自然でしょう。
今回のダイヤ改正で実施されなくても、2018年3月以降のダイヤ改正で、「宇都宮-黒磯」「黒磯-新白河」の系統が「宇都宮-新白河」に統一されるのではないでしょうか。、E531系が黒磯をスルーし、宇都宮-新白河間を直通する形です。
新幹線との接続も改善
2017年10月ダイヤ改正では、新白河駅で東北新幹線と東北本線の接続が改善されます。新たに5本の列車で接続するほか、3本の列車で接続時間を最大23分短縮するとのこと。在来線利用者を少しでも新幹線に誘導しようと工夫を凝らしています。
将来的に、宇都宮直通が実施されれば、那須塩原駅での新在接続も考慮されたダイヤになるかもしれません。そうなれば、東京方面と那須塩原以北の在来線アクセスも改善されることでしょう。(鎌倉淳)