ルフトハンザが「成田~関西~フランクフルト線」を開設。誰も使わない「謎路線」が登場した理由とは?

ルフトハンザ航空の2014年夏ダイヤが発表されました。目玉は羽田空港の昼間枠の新路線。羽田~フランクフルト線と羽田~ミュンヘン線が開設されました。

驚くのは、これに伴う成田空港路線の変更です。これまでの成田~フランクフルト線が、なんと関西空港経由に変更されました。「成田~関西~フランクフルト」です。成田~関西間は国際線扱いになり、この区間だけ利用することはできません。

なんとも斬新な路線ですが、成田から関西経由のフランクフルト行きに誰が乗るの? という疑問がわくのは当然でしょう。羽田~フランクフルト線が開設され、そうでなくても成田線は相対的に不便になるのに、関西経由になったら誰も使わないのではないでしょうか。

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「成田縛りルール」が理由か

こんな奇妙な路線ができたのには理由がありそうです。それはいわゆる「成田縛りルール」と呼ばれるもの。羽田空港の昼間枠で国際線を開設する場合、成田空港から同じ国への路線を残さなければならないという国土交通省が設けた決まりです。ルフトハンザにあてはめると、現在、成田~フランクフルト、ミュンヘンの路線を開設しているため、これをそのまま羽田に移して成田から撤退することは許されないのです。

しかし、成田と同じ目的地の羽田路線を作ったら、成田路線の集客が落ちるのは明白。かといって、日本~ドイツ間の旅客が飛行機の便数に応じて急増するわけでもありませんから、羽田発着分だけフライトを純増させるわけにもいきません。そこで考え出されたのが、成田~関西~フランクフルトという「ウルトラC」。既存の関西~フランクフルト路線を成田まで「延長」し、成田~ドイツ路線を維持する体裁を整えつつ、日本~ドイツ間の運航本数は増やさない、という苦肉の策です。これが、成田~関西~フランクフルトという「謎路線」が開設された理由と思われます。

ルフトハンザ

関西からの乗り継ぎが不便に

国の規制を民間企業がすり抜けようと知恵をこらした様子が垣間見え、いじましいといえなくもありません。しかし、成田~関西が空気輸送になるのは明らかで、「燃料の無駄遣い」にも見えてしまいます。さらに、関西~フランクフルト線の利用者は、余計なあおりを食らいます。

同路線は現在関西10:50発、フランクフルト14:50着ですが、これが関西13:15発、フランクフルト18:00着に変更となります。フランクフルトに14:50着なら欧州各地への同日接続便が豊富ですが、18:00着となると限られます。乗り継いだ場合、最終目的地には21時以降に着くことになるでしょうから、不便になるのは否めません。帰り便はフランクフルト13:45発が13:05発に変わるだけなので大きな変化はありません。

成田~関西~フランクフルト線時刻表

当該便の時刻表は以下の通りです。

LH741 成田(10:25)→関西(13:15)→フランクフルト(18:00)
LH740 フランクフルト(13:05)→関西(翌06:55)→成田(08:55)

知らずに利用するとひどい目に

事情を知らずに利用すると、ひどい目に遭うでしょう。航空会社に多少詳しい人なら、「ルフトハンザの成田・フランクフルト線なら直行便」という先入観があるはずです。そんな人がよく調べずにチケット購入したら関空経由だった、なんて「事件」が現実に起きそうです。

この珍妙な路線がいつまで残るのかはわかりません。「成田ルール」といえど永遠ではないでしょうから、数年間ルールに従えば、成田からの撤退は可能になるかもしれません。あるいは、旅客が増えていずれ直行便が復活するかもしれません。ならば、いまだけの「成田発関空経由の欧州便」を体験してみるのも、一興といえるでしょう。

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