青春18きっぷは5日分。日本列島を普通列車で縦断するにも5日かかりますので、青春18きっぷワンセットでちょうど日本を縦断できます。
とはいえ、最近の新幹線開通→在来線三セク化の影響で、青春18きっぷでの日本縦断の乗り継ぎはだんだん難しくなってきました。
北海道新幹線開業で、在来線の津軽海峡線は廃止、江差線は第三セクター化されました。それにより、所要時間はどう変わるのでしょうか。見てみました。
1日目
まず、2016年3月ダイヤ改正による日本縦断乗り継ぎの南行き接続時刻表をご紹介。稚内を始発で出た場合の時刻です。2015年3月版と照らし合わせながら見ていきましょう。
◇2015年3月ダイヤ
稚内06:04-名寄10:58
名寄11:02-旭川12:50
旭川13:38-岩見沢15:19
岩見沢15:35-白石16:11
白石16:23-苫小牧17:27
苫小牧17:39-東室蘭18:42
東室蘭18:58-長万部20:30
長万部21:19-森22:45
森……泊
◆2016年3月ダイヤ
稚内05:14-旭川10:28
旭川13:40-滝川14:22
滝川14:45-岩見沢15:24
岩見沢15:35-白石16:11
白石16:19-苫小牧17:21
苫小牧17:42-東室蘭18:45
東室蘭18:52-長万部20:21
長万部21:26-森22:44
森……泊
2016年3月ダイヤ改正では、JR北海道で大幅な普通列車の減便が実施されましたが、この乗り継ぎではとくに影響は受けていません。稚内の始発列車の時刻が50分繰り上がりましたが、旭川の待ち時間が増えただけの結果になっています。森泊はどちらも同じです。
2日目
◇2015年3月ダイヤ
森5:34-五稜郭6:53
五稜郭6:59-木古内7:54
木古内8:03-蟹田8:50(スーパー白鳥14号=青春18きっぷ特別ルール)
蟹田8:57-青森9:43
青森10:37-秋田13:53
秋田15:16-酒田17:08
酒田17:22-新津20:54
新津21:33-長岡22:28
長岡23:14-石打00:21
……石打泊
◆2016年3月ダイヤ
森5:34-五稜郭6:56
五稜郭7:10-木古内8:04(道南いさりび鉄道=北海道新幹線オプション券利用)
木古内9:44-奥津軽いまべつ10:22(はやぶさ16号=北海道新幹線オプション券利用)
津軽二股13:05-青森14:23
青森14:44-弘前15:36
弘前17:30-秋田19:58
秋田20:46-酒田22:30
酒田22:32-鼠ヶ関23:59
……鼠ヶ関泊
2日目は大きな差がでました。2015年3月ダイヤでは、木古内、蟹田の乗り継ぎが絶妙で、青森には9時43分に着きます。2016年3月ダイヤでは、木古内、奥津軽いまべつ(津軽二股)の両接続で1時間40分程度の待ち時間がそれぞれ生じ、青森着が14時23分に。5時間近い遅れとなりました。この遅れが、後に響いてきます。
結果、2015年3月ダイヤでは石打まで行けたのが、2016年3月ダイヤでは鼠ヶ関までの到達にとどまっています。
3日目
◇2015年3月ダイヤ
石打06:05-水上06:50
水上06:53-高崎07:58
高崎08:21-小田原11:43
小田原11:52-熱海12:15
熱海12:35-興津13:32
興津13:44-浜松15:15
浜松15:20-豊橋15:54
豊橋16:02-大垣17:32
大垣17:37-米原18:11
米原18:18-播州赤穂21:25
播州赤穂21:26-岡山22:41
岡山22:51-糸崎00:15
……糸崎泊
◆2016年3月ダイヤ
鼠ヶ関06:47-新津08:55
新津09:09-長岡10:03
長岡10:34-水上12:43
水上12:58-高崎14:01
高崎14:14-小田原17:14
小田原17:17-熱海17:40
熱海17:51-沼津18:10
沼津18:31-浜松20:10(ホームライナー浜松3号=別途乗車整理券が必要)
浜松20:12-豊橋20:46
豊橋20:55-米原23:10
……米原泊
3日目の難所は上越国境越えですが、2015年と2016年のどちらのダイヤでも接続が良く、あまり影響を受けずに乗り切っています。
2016年ダイヤでは米原まで到達するものの、タッチの差で京都行き終電に乗れません。2015年ダイヤでは0時15分の糸崎到着まで粘っています。米原到達時刻は約5時間ですが、23時で打ち止めとなるのは痛いところ。
4日目
◇2015年3月ダイヤ
糸崎05:39-広島06:58
広島07:05-岩国08:00
岩国08:09-下関11:13
下関11:16-小倉11:29
小倉11:44-荒木13:44
荒木13:45-八代15:45
八代16:30-人吉17:47
人吉19:47-吉松20:50
吉松21:23-隼人22:15
隼人22:32-鹿児島中央23:07
……鹿児島中央泊
◆2016年3月ダイヤ
米原05:00-大阪06:44
大阪06:51-姫路07:55(土休日運休)
姫路08:01-岡山09:29
岡山09:53-糸崎11:20
糸崎11:24-岩国13:36
岩国14:12-新山口16:05
新山口16:14-下関17:21
下関17:25-小倉17:38
小倉17:43-大牟田20:20
大牟田20:35-熊本21:23
熊本21:40-八代22:16
……八代泊
2015年3月ダイヤでは、4日目に鹿児島中央まで到達。ほとんど「終わったも同然」で、行こうと思えば、この先、喜入まで行くことも可能です。鹿児島中央に宿泊しても、西大山到着時刻は変わりません。
一方、2016年3月ダイヤでは、米原を早朝に出るため、大阪まで新快速が使えないのが痛手。なんとか八代までたどり着くものの、これが限界となりました。土休日ダイヤは米原の出発を遅くして新快速が使えますが、八代泊まりは同じです。
5日目
◇2015年3月ダイヤ
鹿児島中央04:51-指宿05:56
指宿06:09-西大山06:26
……日本縦断完了!
◆2016年3月ダイヤ
八代05:41-人吉07:04
人吉07:18-吉松08:17
吉松08:34-隼人09:26
隼人09:30-鹿児島中央10:08
鹿児島中央12:05-西大山13:37
……日本縦断完了!
最終的に西大山到達時刻は7時間ほどの差が着いてしまいました。津軽海峡区間での差が、だんだん広がってしまった印象です。ただ、青春18きっぷ1枚で日本縦断可能なのはこれまでと同じです。
上記では稚内5時14分発の列車でスタートしましたが、1本後の10時52分発で出ても、西大山にゴールすることができます。
北行き
北行きについても簡単に触れておきましょう。西大山を07時04分発で出ると、5日目の19時30分に稚内に着きます。2015年ダイヤでは、稚内に16時57分に着くことができたので、2時間半ほど遅くなっています。
北行きの場合は、青函区間の影響はほとんど受けていません。そのかわり、長万部~倶知安間の列車が減便対象になった影響で、4日目に岩見沢までしか到達できなくなりました(2015年ダイヤでは滝川まで)。
さらに、稚内16時57分到着の宗谷線が減便対象になったので、新ダイヤでは稚内着の普通列車が11時56分の後19時30分までありません。そのため、青函区間や函館本線がどうであろうと、この列車でしか到着し得なくなってしまいました。
北行き乗り継ぎについては、「青春18きっぷで日本縦断(青春18きっぷ研究所)」をご覧ください。
稚内~東京3日、東京~西大山2日
まとめると、南行き日本縦断は青函区間の影響を受け、北行き日本縦断は北海道の普通列車減便の影響を受け、それぞれ目的地到着時刻が遅くなった、ということです。
実際に実行するとなると、スケジュールはもう少し柔軟にできます。南行きは4日目の朝に東京を出れば西大山に到着できますし、北行きは3日目の朝に東京を出れば稚内に到着できます。
つまり、稚内~東京を3日間、東京~西大山間を2日間で抜ければいいわけです。この範囲内で、途中下車も少しは組み入れれば、多少はラクな旅になるかもしれません。
我こそは、と言う方はぜひ実行してみてください。(鎌倉淳)