成田空港と関西空港の2015年度(平成27年度)の運営概況がまとまりました。それによりますと、成田空港の国内線航空旅客数(利用者数)は年度計で688万人で、関西空港の678万人を上回りました。国内線の利用者数で成田空港が関西空港を上回ったのは、開港後初とみられます。
成田国内線利用者は15%増
成田国際空港株式会社が発表した2015年度の空港運用状況によりますと、航空旅客数は3794万人で、うち国際線が3105万人、国内線が688万人でした。依然として国際線が多くを占めるものの、国内線利用者数は前年度比15%増の伸びを示し、過去最高を記録しました。
一方、新関西国際空港株式会社の発表では、2015年度の航空旅客数は2405万人で、うち国際線が1727 万人、国内線が678 万人となりました。こちらは国際線利用者数が前年度比28%の大幅増を記録したものの、国内線は4%増にとどまりました。
この結果、国内線旅客数で成田空港が関西空港を上回りました。成田空港が国内線利用者で関西空港を上回ったのは、手元で確認できる2005年度以降では初めてで、関西空港の開港以来でも初とみられます。
LCCターミナル開業が貢献か
成田空港の国内線利用者数がこれだけ増えたのは、いうまでもなくLCCの貢献が大きいでしょう。2015年4月にLCC専用の第3ターミナルが開業し、LCCの発着便数が増えた結果とみられます。関西空港もLCC利用者は多いですが、拠点とするピーチが最近は国際線展開に力を入れており、国内線利用者数が伸び悩んだといえます。
ちなみに大阪空港(伊丹空港)の国内線利用者数は1463万人、羽田空港はまだ発表がありませんが、国内線旅客は前年度並みとなる見通しで、6200万人程度とみられます。
国内線旅客数では、新千歳、福岡、那覇の3空港も1500万人を越えていますので、成田、関西はそれぞれ6番手、7番手です。
より使いやすい空港に期待
それにしても、国際線専用空港として作られた成田空港が、内際ハブとして作られた関西空港を、国内線利用者数で抜くとは驚きました。首都圏の人口の多さが支えているといえばそれまでですが、空港にかかわる人々の努力もあったことでしょう。
かつて成田と言えば、都内から遠い上にアクセスの交通費が高く、国内線利用には向かない空港でした。しかし、京成スカイアクセス線が開業してアクセス時間が短縮される一方、東京駅エリアから格安バスが開設されるなど、低コストの利用も可能になりました。
なにより、LCCの旅客吸引力の強さがあり、成田空港は国内線空港として認知されてきた、ということでしょう。今後は大崎駅から格安バスが開設されますし、さらに使いやすくなることを期待したいところです。(鎌倉淳)