スカイマークのANA傘下入りが決まりました。2015年8月5日に開かれたスカイマークの債権者集会で、ANAホールディングスの支援を盛り込んだ再生計画案が賛成多数で可決されたためです。決め手は大口債権者である欧州エアバス社の支持でした。
ANAはエアバスの支持を取り付けるため、エアバス機の発注を約束したようです。その機材はA380ではないか、とする報道もあります。事実とすれば、ANAがA380を導入することになりますが、本当なのでしょうか?
適時開示義務が発生しないように
2015年8月6日付け日本経済新聞によりますと、債権者集会でANA案は劣勢だったため、7月下旬に「適時開示義務が発生しないように条件をつけながら、ANAがエアバスに対し将来の機材発注を約束した」とのことです。
そして「ANAが発注を決めた機種や機数は明らかではないが、スカイマークが国際線への導入を計画していたのと同じ総2階建ての超大型機『A380』が有力」としています。
国内対応空港は限られる
これまでにA380を導入した国内航空会社はありません。それどころか、超大型機のA380は就航できる路線が限られるため、世界的にも不人気で、販売数は伸び悩んでいます。
日本国内での対応空港も少なく、それも一部のスポットに限られます。A380の収容力を満たす路線は羽田発着便しかなさそうですが、その羽田空港では、昼間の混雑時間帯に乗り入れることができません。要するに、羽田空港の運用を変えない限り、国内線に投入できる路線は見当たらないのです。
そのため、ANAがA380を投入したとしても、投入できるのは国際線の主力路線のみとなりそうです。成田~ロンドン、ニューヨーク、北京といった路線なら、ANAの販売力があればA380の座席を埋めることはできるでしょう。そうした路線にANAのA380が就航するならば、趣味的には楽しみです。しかし、経営の視点でみれば、国際線の一部路線のために新機材を投入するのは、効率的とはいえません。
抜群の政治力を活かすのか
あるいは、ANAは抜群の政治力を活かして、羽田空港での混雑時間帯にA380の乗り入れを認めさせるのでしょうか。それとも、A380の導入は、結局ただの憶測で、実際にはそんな約束は交わされていないのでしょうか。
ANAとエアバスの間でどんな約束が交わされたのかは、実際のところわかりません。ただ、スカイマーク「獲得」の経緯からみて、ANAがエアバス機を発注するのは間違いなさそうです。それがANAにとって高い代償とならなければよいのですが。