航空会社の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が若干値上がりします。JALが2月分より1段階引き上げることを明らかにしました。今後の見通しとあわせて見てみましょう。
2-3月分を発表
国際線旅客が航空券購入時に支払う燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)について、JALは2025年2~3月発券分で、価格を引き上げることを発表しました。
燃油サーチャージは、燃油市況価格の直近2か月間の平均に基づき算定されます。
JALによりますと、2-3月発券分の基準となるシンガポールケロシンは、2024年10月から11月の市況価格が88.60米ドルでした。また、同期間の為替平均は1ドル151.57円でした。これを乗じた1バレルあたりの基準金額は13,429円となりました。
欧米往復58,000円
12-1月発券分は、市況価格88.69米ドル、為替144.88円、基準価格12,849円でした。この2ヵ月で燃料相場は小動きでしたが、為替は4.6%も円安に振れています。この円安により、基準価格は下落しました。
これにより、JALでは2025年2月1日発券分から燃油サーチャージの価格を値下げします。2-3月発券分のひとり1区間片道あたりの燃油サーチャージは、日本から北米・欧州・オセアニアなどが29,000円に、ハワイ・インドなどが18,500円に、タイ・シンガポールなどが15,500円になります。
これは片道の金額なので、往復の場合、北米・欧州・オセアニアなどが58,000円に、ハワイ・インドなどが37,000円に、タイ・シンガポールなどが31,000円となります。
燃油価格は落ち着くも
過去1年間の燃油サーチャージは、2023-24年12-1月分で高値を付けたあと調整し、4-5月分で底を打ち、6月から11月まで6ヶ月連続で据え置かれ、前回の12-1月分で大幅に下落しました。
前回のサーチャージ下落の原因は、世界的な景気減速懸念による国際燃油価格の下落と、7月末の日銀利上げをきっかけとした円高でした。今回も燃油の価格は落ち着いていましたが、堅調な米国景気の展望もあって円安が進み、燃油サーチャージは値上がりという結果になりました。
過去1年の燃油サーチャージの変化は下表の通りです。
路線 | 23-24年 12-1月 |
24年 2-3月 |
24年 4-5月 |
24年 6-11月 |
24-25年 12-1月 |
25年 2-3月 |
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北米・欧州・中東・オセアニア | 47,000 | 43,600 | 33,000 | 35,000 | 25,000 | 29,000 |
ハワイ・インドネシア・インド・スリランカ | 30,500 | 28,200 | 21,000 | 22,500 | 16,000 | 18,500 |
タイ・マレーシア・シンガポール・ブルネイ | 24,700 | 23,000 | 18,000 | 18,500 | 13,000 | 15,500 |
グアム・パラオ・フィリピン・ベトナム・モンゴル | 17,800 | 16,100 | 11,000 | 12,000 | 8,000 | 9,500 |
東アジア(韓国、モンゴルを除く) | 11,400 | 10,300 | 8,500 | 9,200 | 6,200 | 7,400 |
韓国 | 5,900 | 5,300 | 3,500 | 4,000 | 2,500 | 3,000 |
※片道あたり、発券日基準。
適用条件「ゾーンH」に
今回の燃油サーチャージ額は、JALが公表している適用価格表の「ゾーンH」に該当します。直近の最高値だった1年前(2023-24年12-1月)の「N」の6ランク下となっています。
ゾーン | 基準価格 | サーチャージ額 |
---|---|---|
A | 6,000円~7,000円 | 4,500円 |
B | 7,000円~8,000円 | 8,900円 |
C | 8,000円~9,000円 | 13,400円 |
D | 9,000円~10,000円 | 16,000円 |
E | 10,000円~11,000円 | 18,500円 |
F | 11,000円~12,000円 | 21,000円 |
G | 12,000円~13,000円 | 25,000円 |
H | 13,000円~14,000円 | 29,000円 |
I | 14,000円~15,000円 | 33,000円 |
J | 15,000円~16,000円 | 35,000円 |
K | 16,000円~17,000円 | 38,000円 |
L | 17,000円~18,000円 | 41,000円 |
M | 18,000円~19,000円 | 44,000円 |
N | 19,000円~20,000円 | 47,000円 |
O | 20,000円~21,000円 | 50,000円 |
今後の見通しは?
値上がりしたとはいえ、今回の基準価格は、この1年では底値圏です。
最近の燃油価格は小動きが続いています。直近の数字を見ると、基準となるシンガポールケロシンの市況価格は89-90米ドル程度で、今回の基準価格88.60とほぼ同水準です。
為替相場は153円前後での値動きが続いています。今回の基準価格の151.57円と比べると、水準として大きくは変わりません。となると、次回の燃油サーチャージの価格も、大きくは変わらないでしょう。
このままの状況で推移すれば、燃油価格と為替の安定により、次回の基準価格は13,000円台で据え置かれる可能性が高そうです。その場合、燃油サーチャージのゾーンは、今回と同じ「H」のままです。欧米往復は58,000円です。
ただ、これから年末年始を迎え、相場が不安定になります。アメリカではトランプ大統領の就任も控えます。ウクライナや中東の戦争は継続しており、国際情勢は予断を許しません。世界的な景気減速懸念もあります。
4月以降のサーチャージは据え置かれるかもしれませんが、その後については見通せません。春先に向けて海外航空券購入のチャンスが続くので、いまのうちに買っておくのもよさそうです。(鎌倉淳)