京成電鉄が2014年11月8日にダイヤ改正を実施します。都営地下鉄、京浜急行、北総鉄道と同時に行われる大規模なダイヤ改正です。
今回のダイヤ改正のポイントはいくつかありますが、筆者が一番注目したのは、ラッシュピーク時にスカイライナーを設定した点です。他にも、成田空港、羽田空港アクセスの改善を行います。
なお、以下で表記する時刻は全て平日ダイヤです。
京成上野発18時台にスカイライナー
スカイライナーは1日1往復の増発で、下りについては、京成上野17時45分発の後に18時20分発を新設定。最終スカイライナーの成田空港の到着時刻が18時33分から19時06分に繰り下がります。
この増発は、21時前後に成田を発つ飛行機に乗る人には歓迎でしょう。というのも、平日その時間の飛行機に乗るときは、成田空港へ行くのに苦労するからです。道路渋滞が起きやすい時間帯なので、高速バスはあてになりません。かといって、通勤電車に旅行の大きな荷物を持ち込みたくない。結局、成田空港で待つのを承知で早めに行くか、成田エクスプレスを利用するしか、事実上の選択肢がなかったのです。
しかし、18時20分発のスカイライナーができれば、21時前後に出発する飛行機へちょうどいい接続になります。ピーチの関西行きや、ジェットスターのケアンズ行き、ユナイテッドのグアム行きなどを利用するに人は便利になるでしょう。
京成上野着8時台にも設定
上りについては、現在のスカイライナーの始発は成田空港8時17分発ですが、それより早い7時28分発を設定します。スカイライナーの始発が約50分も繰り上がることになります。京成上野着は8時28分です。
これまでスカイライナーのアクセスが不便だった、6時台に成田に到着する飛行機と、接続のいいスカイライナーが登場することになります。タイ航空のバンコク発や、JALのハノイ発、カンタスのシドニー発、アエロメヒコのメキシコシティ発などが該当します。
上り下りとも、スカイライナーが増発されたのは、ラッシュのピーク時です。これまでスカイライナーは、ラッシュのピーク時には設定されてきませんでした。その設定に踏み切ったわけです。
ラッシュピーク時にスカイライナーを走らせるということは、通勤電車のスジに割り込ませる形になります。詳細なダイヤがわからないのでなんともいえませんが、スカイライナーを増発すれば、通勤電車で待避が発生しますし、あるいは通勤電車が減便されるかもしれません。ということは、極端な表現をすれば、京成電鉄は通勤客よりも空港客を優先する方向に舵を切った、といえます。
「空港夜明かし客」対応の列車を設定
他にも、今回のダイヤ改正は、空港アクセスの改善を目指したものとなっています。最終のイブニングライナーを京成上野23時発で設定し、成田空港まで乗り入れさせます(成田空港24時10分着)。また、最終の通勤特急を成田空港23時35分着で設定しています。これらは、いずれも、翌朝のLCCに乗る客の利便性を図ったそうです。空港で夜明かしするLCC客を前夜のうちに成田空港に連れて行く、という発想で、これまでの京成の鉄道ダイヤにはなかった考え方です。
さらには、京成成田5時2分発の成田空港行きも設定しました。これは、京成成田駅周辺に宿泊した早朝のLCC利用客をターゲットにしたものだそうです。
羽田空港アクセスも改善
羽田空港発着の、都営・京急線「エアポート快特」直通列車も、日中に押上~青砥間を20分間隔で運転します。現行のアクセス特急40分間隔に加え、青砥発着の快速特急を20分間隔で新設します。
これは、羽田空港アクセス重視といえるかもしれません。これらの列車は、京成本線の特急と青砥で接続し、押上線内は無停車なので、たとえば船橋方面から羽田空港に行くのには便利になります。本線特急の利用者全体にとっても、都営浅草線方面のアクセス改善になるので、空港客、一般客双方にメリットがある改正といえます。ただし、押上線内各駅の利用者にとっては、通過列車が増えるので、利用できる本数は減ります。
通勤・通学客が頭打ちになる中で、空港輸送は鉄道会社にとって貴重な成長領域です。今回のダイヤ改正は、成長分野の利用者を増やそうとする姿勢を鮮明にした、と見ることができるでしょう。空港利用者からは歓迎されるでしょうが、沿線住民の一部からは批判が出てくるかもしれません。