ANAがピーチで減損処理。2020年3月期決算は黒字確保もコロナで無配に

来期見通しは未定に

ANAが2020年3月期決算を発表しました。営業利益608億円を確保する一方、ピーチ・アビエーションの減損処理を実施。新型コロナウイルスの影響が見通せないため無配としています。

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売上高は4%減

ANAホールディングスの2020年3月期決算は、新型コロナウイルスの影響で、前年比で大きく落ち込みました。売上高は1兆9742億円と前期比4.1%減にとどまりましたが、営業利益は608億円(同63.2%減)、経常利益は593億円(同62.1%減)と落ち込んでいます。

また、2017年に304億円を投じて株式を買い増し連結子会社化したピーチ・アビエーションについて、のれんの減損を実施し、251億円の減損損失を計上しました。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益は276億円となりました。

ピーチの減損については、「将来キャッシュフローを算定した結果、収益性が低下した」と理由を挙げています。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の終息時期が見通せないとして、現状を「未曾有の厳しい経営環境」と表現。「手元流動性を確保することが喫緊の課題」であることから、配当は無配にすると発表しました。

ANA787

国際線の減収大きく

国内線旅客収入は、166億円の減収(前期比2.4%減)、国際線旅客収入は、376億円の減収(5.8%減)です。新型コロナウイルスの影響は、最初に中国路線を中心とする国際線を直撃しましたので、先に国際線の減収幅が大きくなっています。

貨物収入に関しては、国内線が19億円減収(1.0%減)、国際線は233億円減収(17.9%減)となっています。こちらも中国路線の不振が響きました。

LCC事業はふた桁減

子会社のピーチとバニラを統合したLCC事業では、売上高が819億円となり、116億円の減収(12.5%減)となりました。売上高がふた桁の大幅減となっています。

利用率は83.1%と、80%台は確保したものの、前期より3.2ポイント減っています。こちらも新型コロナウイルス感染症の影響により、2月以降に減便をしたことが響きました。

2021年3月期の業績見通しについては、「新型コロナウイルス感染症の終息時期が不明な現時点では、業績見通しを合理的に算定することが困難」として、具体的な数字をあげませんでした。連結業績予想や配当予想については未定とし、合理的な予想の開示が可能となった時点で速やかに公表するとしています。

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