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東京メトロ豊住線

豊住線とは、東京メトロ有楽町線豊洲駅~半蔵門線住吉駅を結ぶ地下鉄の新線です。「豊洲」と「住吉」の頭文字を取って「豊住線」といいます。有楽町線(東京8号線)の支線と位置づけられていて、正式には「有楽町線延伸」または「東京8号線延伸」と表記されます。

1972年の都市交通審議会答申第15号で豊洲~住吉~押上~亀有間が盛り込まれたのが最初です。2016年国土交通省交通政策審議会答申には豊洲~住吉間が記載されました。事業化が決定しており、開業予定時期は2030年代半ばです。

東京メトロ豊住線の概要

東京メトロ豊住線は、有楽町線(東京8号線)の支線です。豊洲駅から分岐して、半蔵門線の住吉駅に至ります。

豊洲~住吉間は5.2km。開通すれば、豊洲~住吉間が9分で結ばれます。総事業費は2,690億円を見込みます。

東京メトロが上下分離方式で建設し、メトロが運行主体になります。途中3駅が設けられます。東陽町駅と、豊洲~東陽町間に枝川駅(仮称)、東陽町~住吉間に千石駅(仮称)が建設されます。

有楽町線豊洲駅のホームは分岐線の建設に対応できるよう2面4線で建設されており、中央側の2線が空いています。また、半蔵門線の住吉駅ホームも上下2層式の2面4線となっており、このうち2線が将来の分岐線用として確保されています。

そのため、豊住線が完成すれば、有楽町線池袋方面と、半蔵門線押上方面へ直通できる構造になります。開業した場合、池袋方面から住吉方面への直通列車が運転されます。住吉から半蔵門線押上方面への乗り入れは予定されていません。

交通政策審議会が2019年3月にまとめた調査結果では、総事業費1,559.5億円(建設費1,420億円、車両費139.5億円)、建設期間10年間と想定しました。運行頻度は朝ピーク時に毎時12本、夕ピーク時に毎時10本、日中に毎時8本とし、各時間帯で毎時4本は豊洲駅において有楽町線市ヶ谷方面との直通運転を想定しています。運賃体系は東京メトロと同等とし、東京メトロの既存線とは通算運賃と考えられています。

上記の前提に基づく輸送人員は、1日27.3万~31.6万人と予想されました。費用便益分析を実施したところ、30年間(50年間)では費用便益比(B/C)2.60~3.03(2.85~3.33)、純現在価値(NPV)1,250億~1,581億円(1,471億~1,849億円)、経済的内部収益率(EIRR)10.7~12.0%(10.8~12.1%)となりました。評価三指標が社会経済的に有益とされるB/C≧1.0、NPV≧0、EIRR≧4%を満たすことから、豊住線の社会経済的な有益性が示されました。

収支採算性については、累積資金収支が19~29年目に黒字に転換し、累積損益収支は 1年目の黒字転換が見込まれています。したがって、基準とされる開業後40年以内に累積赤字が解消される見通しです。

ただし、豊住線が開業すると、東西線など東京メトロの既存路線で減収が生じます。それを考慮すると、単年度の黒字転換はなく、開業後40年以内で累積資金収支は黒字となりません。そのかわり、東西線の混雑率は木場→門前仲町間で20ポイント、有楽町線の混雑率は豊洲→月島間で16ポイント減少すると見込まれるなど、既存路線の混雑緩和に貢献します。

豊住線が開業すれば、錦糸町駅~豊洲駅間の所要時間が、21分から11 分へと、10分短縮されるなどの効果も見込まれています。

画像: 江東区

東京メトロ豊住線の沿革

地下鉄豊住線は、東京8号線(有楽町線)整備の一環として誕生しました。1972年の都市交通審議会答申第15号にて、東京8号線計画に豊洲-東陽町-住吉町-押上-亀有間が追加されたのが、豊住線の始まりです。1982年には、営団地下鉄が8号線豊洲-亀有間 (14.7km) の鉄道事業免許を申請し、実現への期待が高まりました。しかし、この免許は未交付に終わりました。

1985年の運輸政策審議会答申第7号では、「東京8号線の建設及び複々線化」として、豊洲-住吉-押上-亀有-武蔵野線方面への延伸が答申されました。このとき、住吉-四つ木間は東京11号線(半蔵門線)と共用する計画となっています。豊洲-亀有間の計画の目標年次は2000年とされました。

1988年には有楽町線が豊洲駅まで開業し、住吉方面への分岐に備えた2面4線の構造となりました。ただ、その後も豊住線区間は着工に至らず、2000年の運輸政策審議会答申第18号では、豊洲~住吉間と押上~四ツ木~亀有~野田市間が2015年度までに整備に着手するのが適当な路線(押上~四ツ木間は東京11号線と共用)とされました。

2004年に営団地下鉄が民営化され東京メトロになると、同社は副都心線を最後に新線建設を行わない方針を表明します。これにより豊住線の建設期待はしぼみましたが、2010年に地元江東区が事業化に関する検討を独自に開始。2013年に「東京8号線(豊洲~住吉間)延伸に関する調査報告書」を公表します。

2015年7月10日、東京都は「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」を公表。そのなかで、豊住線を「整備について優先的に検討すべき路線」のひとつとしました。

さらに、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、豊住線は「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」に位置づけられました。これにより、豊住線は建設に向け大きく前進しました。

2019年3月には、交通政策審議会の調査結果が発表され、豊住線に事業性があることが確認されました。2021年7月の交通政策審議会「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等に関する小委員会」で、東京メトロ有楽町線の豊洲~住吉間について、整備を進めるのが適切とされ、事業化が事実上決定しました。2022年1月に東京メトロが鉄道事業許可を申請し、建設に着手しています。

有楽町線延伸は、豊洲~住吉間だけの計画ではありません。おおざっぱにいうと、有楽町線の豊洲から半蔵門線押上を経て、埼玉・千葉方面へ伸びる構想のうち、江東区部分だけを切り取ったのが「豊住線」です。ただし、押上以北の構想実現は望み薄です。

東京メトロ豊住線データ

東京メトロ豊住線データ
営業構想事業者 東京メトロ
整備構想事業者 東京メトロ
路線名 未定
区間・駅 豊洲~枝川~東陽町~千石~住吉
距離 約5.2km
種別 第一種鉄道事業
種類 普通鉄道
軌間 1067mm
電化方式 1500V
単線・複線 複線
開業予定時期 未定
備考 --

東京メトロ豊住線延伸の今後の見通し

東京メトロ有楽町線の住吉延伸(豊住線)は、2022年1月に東京メトロが鉄道事業許可を申請し、国交省が3月に許可しました。8月には東京都都市整備局が都市計画の素案を公表。実現に向けて動き出しています。

そのため、建設されること自体は確定しています。開業予定時期は未定ですが、2030年代半ばとされています。

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