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新潟空港アクセス鉄道

新潟空港アクセス鉄道は、新潟駅~新潟空港を結ぶ鉄道新線計画です。上越新幹線を延伸する計画と、JR白新線から分岐する在来線延伸計画があります。

新潟空港アクセス鉄道の概要

新潟県は新潟空港のアクセス改善について検討しています。その方法の一つが空港アクセス鉄道の建設です。2017年12月に、新潟空港アクセス改善協議会がまとめた報告書「新潟空港アクセス改善の基本的考え方」では、新幹線と在来線のアクセス案を併記しています。

それによりますと、新幹線延伸案の想定ルートは、新潟駅~新幹線車両基地~新潟空港です。路線延長は11.5km、想定所要時間は11分、運賃は440円、事業費は422億円と見込んでいます。当該区間は在来線扱いですが、列車は上越新幹線との直通運転が可能で、新幹線沿線や首都圏へのアクセスで利便性があります。

画像:新潟県

在来線延伸案は、新潟駅~大形駅~新潟空港です。大形~新潟空港の距離は約5.4km、新潟駅~新潟空港の距離は12.3km、想定所要時間は16分、運賃は410円、事業費は308億円と見込まれています。在来線各方面との直通運転が可能で、新潟市近郊や庄内、会津方面からのアクセスで利便性が上がります。中間駅を設けることによって、都市内の交通需要も取り込むことにより、採算性が改善する可能性もあるとしています。

そのほか、LRTやモノレール、新交通システムといった軌道系アクセスも検討されています。想定ルートは新潟駅~新潟市内各所(万代シティ、佐渡汽船など)~新潟空港です。所要時間はルートによって変わりますが、20分程度。概算事業費は225億円~2,250億円と幅があります。比較的ルート設定の自由度が高く、新潟市内主要施設とのアクセスや新潟市内都市交通との連携で利便性があります。

報告書では、これら軌道系交通機関について「交通ネットワークの選択肢を増やすという観点では有益」としながらも、「新潟空港の年間 100 万人位の需要では、なかなか採算は取れない」として、消極的な姿勢が記されました。新幹線延伸案と在来線延伸案を比べた場合については、事業費は高くなるものの、新幹線延伸案のほうがメリットがある旨の表記になっています。

最終的に「新潟空港アクセス改善の基本的考え方」報告書では、新幹線延伸案を含む軌道系アクセスは「利用者増加などの効果も期待されるものの、不確実な要素や採算性等の課題も多く、現時点で整備着手を判断できる状況にない」として、先送りの判断となりました。

新潟空港アクセス鉄道の沿革

新潟空港は、新潟駅から直線距離で約6.4kmの位置にあり、距離としては遠くありません。そのため、1980年代から新潟駅と空港とを結ぶ空港連絡鉄道の整備構想が浮上しています。

常に話題になるのが、上越新幹線の延伸です。上越新幹線には、新潟駅から新潟新幹線車両センター(車両基地)へ5.1kmの回送線があり、これを利用すれば6km程度の新線建設で新潟空港に乗り入れることができるからです。

一方、在来線を活用する構想には、信越本線の貨物支線(臨港貨物線)を延伸する案と、白新線の大形駅から新線を建設する案が浮上しました。この両案では白新線案が中心として検討されています。

いずれのアクセス鉄道案でも、事業費が数百億円規模になるため、年間利用者が100万人程度の新潟空港では採算を取るのは困難で、なかなか実現に至っていません。

2015年には、新潟空港アクセス鉄道に関する調査予算が計上され、委託を受けたみずほ総研が調査をし、2016年に「新潟空港アクセス調査業務委託報告書」として結果がまとめられました。2017年には、それを基に新潟空港アクセス改善協議会が設置され、3回に渡って協議が行われています。

その結論として、2017年12月に「新潟空港アクセス改善の基本的考え方」がまとめられ、採算性などの問題を挙げ、「現時点で整備着手を判断できる状況にないため、長期的な需要動向等を見極めつつ、再度検討・意思決定を行う必要がある」として、事実上の先送りとなりました。

新潟空港アクセス鉄道のデータ

新潟空港アクセス鉄道のデータ
営業事業者 未定
整備事業者 未定
路線名 未定
区間・駅 新潟駅~新潟空港
距離 11.5km(新幹線)
種別 未定
種類 高速鉄道(新幹線)
軌間 1,435mm(新幹線)
電化方式 交流25,000V(新幹線)
単線・複線 未定
開業予定時期 未定
備考 --

新潟空港アクセス鉄道の今後の見通し

新潟空港アクセス鉄道は、新潟県にとっては30年来の悲願です。しかし、新潟空港にはドル箱の羽田便がなく、利用者が限られるため、これまでアクセス鉄道は実現してきませんでした。

これまでの議論で、軌道系新線を建設するなら新幹線の延伸という方向性が濃くなってきたように思えます。実現したら、新潟県の中越地域や群馬県北部からの空港アクセスが劇的に改善するでしょう。その意味で、広い波及効果が望める構想なのですが、肝心の空港の発着便数が増えなければ、鉄道アクセスを充実させる意味はありません。

新幹線の実質的な建設距離は6kmほどで、利用者さえ見込めれば事業へのハードルはそれほど高くなさそうです。言い換えれば、少なすぎる空港利用者数こそが、空港アクセス鉄道建設へ向けての最大のハードルとなっているわけです。

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