ひたちなか海浜鉄道湊線延伸
ひたちなか海浜鉄道湊線は、茨城県ひたちなか市を走る地方鉄道です。勝田~阿字ヶ浦間14.3kmを結び、これを国営ひたち海浜公園西口前まで延伸する計画があります。計画は二段階で進められ、最初の区間は2030年春に開業しそうです。
ひたちなか海浜鉄道湊線延伸の概要
ひたちなか海浜鉄道湊線は、かつては茨城交通の路線でした。2008年に第三セクター化され、現路線名となっています。勝田~阿字ヶ浦間14.3kmを結ぶ非電化路線です。
一時は廃止も議論されたローカル私鉄ですが、第三セクター後に経営が持ち直し、阿字ヶ浦駅の先にある国営ひたち海浜公園までの延伸案が浮上しました。
ルート案は総延長約3.1km。阿字ケ浦駅から北上し、海浜公園の南側外周に沿って進み、公園中央口を超えて公園西口付近を終点とする案です。当初は一括開業の予定でしたが、物価上昇などの影響を受けて、工事を二段階に分けることを決定。国営ひたち海浜公園の南口付近に新駅を整備し、そこまでの区間1.4kmを先行して開業する方針に変更しました。。
途中駅は、当初、阿字ヶ浦の土地区画整理地区と、海浜公園中央口付近の2駅が設けられる計画でしたが、事業費の兼ね合いで1駅に変更。先行開業により南口付近に作ることになりました。
終着駅は、海浜公園西口の翼のゲート付近に設置され、バスターミナルも併設される計画です。物産品販売や飲食を提供できる観光拠点の整備も見込んでいます。周囲にはアウトレットモールやホームセンター、家電専門店などの大規模ショッピングセンターがあり、買い物にも便利な立地です。
概算事業費は、当初約65億円とされましたが、2018年2月に約78億円に見直されました。
ひたちなか海浜鉄道湊線の沿革
ひたちなか海浜鉄道湊線は、もともとは茨城交通の運営でした。延伸計画の古い歴史は定かではありませんが、現実的な計画として浮上したのは、2013年2月27日のひたちなか市長の記者会見が初めてとみられます。市長は「延長をこれから検討する」旨の発言をし、2013年度予算で調査費が計上されました。
2014年2月には、延伸ルートが4案公表。2016年4月18日に、そのうちのひとつに絞られたことが発表されました。2016年12月には、2024年度運行開始とするスケジュール案が公表されました。
2020年8月11日に国土交通省に事業許可を申請。2021年1月15日に第一種鉄道事業が許可されました。運行開始予定を2024年度とし、22年1月までの工事施工認可申請を目指しましたが、新型コロナウイルスの影響で関係者との協議が遅れ、同月に期限延長を国に申請。2023年3月末が新たな期限でしたが、それにも間に合わず、再度延期しました。
その後、2023年12月12日に、ひたちなか市が議会で二段階開業案を公表。海浜公園南口まで1.4kmを先行整備する方針を明らかにしました。着工後、約5年での開業を見込みます。2024年度に着手し、順調にいけば2029年度末(2030年春)に開業します。
概算事業費は、事業許可段階で78億円。年間95万人の利用が見込まれています。
ひたちなか海浜鉄道湊線データ
営業事業者 | ひたちなか海浜鉄道湊線 |
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整備事業者 | ひたちなか海浜鉄道 |
路線名 | ひたちなか海浜鉄道湊線 |
区間・駅 | 阿字ヶ浦~国営ひたち海浜公園西口 |
距離 | 3.1km(南口までの1.4kmを先行整備) |
種別 | 第一種鉄道事業 |
種類 | 普通鉄道 |
軌間 | 1067mm |
電化方式 | 非電化 |
単線・複線 | 単線 |
開業予定時期 | 2030年春(先行開業区間) |
備考 | -- |
ひたちなか海浜鉄道湊線の今後の見通し
湊線の延伸計画は、浮上してから数年でとんとん拍子に話が進み、ひたちなか市では、当初、2018年度の事業許可取得を目指していました。ただ、事業許可申請は結局、2020年8月にずれ込み、許可は2021年1月15日となりました。
それに続く工事施工認可申請は2022年1月と見込まれていましたが、間に合わずに2023年3月に延期。それにも間に合わず、再延期となっています。2023年12月に一部区間先行開業案を公式発表して、ようやく工事着手の見通しが立ちました。
延伸エリアは地方の再開発地域でもあり、土地取得のハードルも高くないことから、工事着手すれば完成は早いと見込まれています。
順調にいけば、着工から5年後の開業とされていて、海浜公園南口までの開業は視野に入りました。しかし、当初計画の全区間の開業は見通せなくなっている印象もあります。