「全国旅行支援」の研究。新幹線、飛行機を使っておトクに旅をしよう!

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「全国旅行支援」が10月11日に開始となります。旅行代金が40%割引となり、旅行先の店舗で使えるクーポンももらえるという仕組み。新幹線や飛行機を使ってお得に旅をする方法を研究してみました。

なお、制度や運用には流動的な部分があります。記事内容と実際が異なる場合もありますので、ご予約前にはご自身でお確かめください。

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「全国旅行支援」とは?

「全国旅行支援」は、新型コロナ禍後の観光需要喚起策として、観光庁が実施するキャンペーンです。

内容を簡単に説明すると、新幹線や飛行機といった交通費とホテル代をあわせた旅行費用のうち、40%を政府が補助してくれるという仕組みです。

主な対象は旅行会社が販売する旅行商品(パッケージツアー)です。個人でホテル・旅館の宿泊を直接予約した場合も対象になります。これらが40%割引になるということです。

補助金額には上限金額があり、パッケージツアーのうち、新幹線や飛行機、バスなどの交通機関と宿泊費がセットになった1泊以上のプランは、1人1泊あたり8,000円が上限です。

これ以外は、1人1泊あたり5,000円が上限です。たとえば日帰りのパッケージツアーは5,000円が上限です。個人で宿を予約する旅行も5,000円が上限です。どちらも、40%割引の原則は変わりありません。

いずれの場合も、平日なら3,000円、休日は1,000円のクーポンがもらえます。クーポンは旅行地域周辺の店舗で使えます。

合計すると、平日は1人1日で最大11,000円分の補助が受けられます。休日は最大9,000円の補助となります。

全国旅行支援の概要を以下にまとめておきます。

全国旅行支援の概要まとめ

割引率:40%

割引限度額:交通付旅行商品は8,000円、それ以外は5,000円。

クーポン券:平日3000円、休日1000円

期間:10月11日~12月20日(年始以降は状況をみて検討)

※いずれも1人1泊あたり。日帰りの場合は1人あたり。子どもも1人分の扱いになる。

新幹線富士山

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「平日」「休日」とは?

「全国旅行支援」は、もらえるクーポン券が平日と休日で異なり、平日が3,000円、休日が1,000円となっています。

このとき、「休日」とは土日祝を指します。宿泊旅行の場合、宿泊日とその翌日がともに土日祝である場合が「休日」です。それ以外は「平日」とされます。連休以外の週末では、土曜日宿泊のみが「休日」の扱いです。

「全国旅行支援」は、平日のほうがクーポン金額が多くてお得なので、週末がらみでは金曜宿泊や日曜宿泊が狙い目になります。

「全国旅行支援」には、最低利用金額も定められていて、1人1泊あたり平日が5,000円、休日が2,000円です。最低利用金額を下回る商品は対象外となります。

なお、実施期間は、10月11日から12月20日とされていますが、全ての都道府県で10月11日からスタートするわけではありません。東京都は10月20日からの開始となります。

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クーポンとは

配布されるクーポンは、旅行先の都道府県の飲食店や物販店で利用できます。

クーポンの配布方法は都道府県が決定します。まだはっきりしない部分もありますが、ホテルなどで紙のクーポンを配る場合もあれば、電子クーポンを使用する場合もあるようです。

クーポンが使える店舗は、各都道府県のウェブサイトなどで確認できるようになります。登録店舗の詳細は不明ですが、県民割のクーポン利用店として登録されている店舗がベースになるとみられます。

申請方法

「全国旅行支援」の申請方法は簡単で、インターネットや店舗の旅行会社で、該当の旅行商品を申し込むと割引料金になります。各旅行会社は、インターネットで専用ページを設けるなどして、積極的に販売しています。

「全国旅行支援」の利用には、免許証など本人確認書類の提示が必要です。また、ワクチン3回接種済証または陰性結果証明の提示も必要です。書類提示の方法は、申込先の旅行会社などでご確認ください。

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子どもはお得

ファミリーの場合、子どもの扱いが注目点です。「全国旅行支援」は、子どもも大人と同じ「1人」として扱います。旅行商品(パッケージツアー)の申込時に一緒に申請すれば、たとえ乳児でも1人分の割引が受けられます。乳幼児が無料のツアーでも、1人分としてカウントされ、割引対象になります。

たとえば、4人家族(大人2人、子ども2人)が、新幹線と宿がセットになった合計8万円のツアーで1泊旅行をした場合、40%の32,000円が割引されます。上限金額が8,000円×4人=32,000円で計算されるからです。

さらに平日であれば3,000円✕4人分=12,000円のクーポンがもらえます。このとき、子ども料金の内訳などは問われません。

ありていにいえば、「全国旅行支援」で子どもはお得です。

既存予約はどうなる?

10月11日までに予約していたツアーの扱いについては、多くの旅行会社で、既存予約を割引対象予約に切り替えることができます。「あとから割引」などと称するサービスです。

たとえば楽天トラベルでは、対象可否確認の後に、予約者が「割引申請」ボタンを押すことによって、割引対象予約に切り替えることができます。同様の仕組みは各旅行予約サイトで備わっています。

ただし、全ての既存予約が割引対象予約に切り替えられるとは限らないので、それぞれご確認ください。切り替えられない場合は、予約をキャンセルして取り直す必要があります。

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どんな乗り物が対象になる?

「全国旅行支援」では、交通機関と宿泊費がセットになった1泊以上のプランは、1人1泊あたり最大8,000円の補助が受けられます。この「交通機関」の定義についてもみてみます。

JTBによると、割引対象になる「交通機関」(運送サービス)は以下の通りです。

・航空機:すべて対象
・鉄道:1乗車で片道50km以上の有料列車利用を含むもの
・乗合バス(路線バス、定期観光バス、高速バス等):1乗車で片道50km以上の利用を含むもの
・貸切バス:貸切バスの2時間以上の利用を含むもの
・タクシー・ハイヤー:直線距離で片道50km以上の利用を含むもの
・内航航路:1乗車で発着する港間の直線距離が、片道50km以上の利用を含むもの
・離島航路:すべて対象

こうした交通機関を1つでも含めば、割引対象の交通付きツアーの基準を満たします。これはJTBの基準ですが、他の旅行会社でも同様の基準になっていると思われます。ただし、実際に割引対象として販売されるかは商品により異なります。

対象になるツアー

割引対象になるツアーは、旅行会社によって多少異なります。交通機関とホテルが含まれて、出発地に帰着するオーソドックスなツアーは、だいたいどの旅行会社でも対象になります。

一方、片道だけのツアーや、ダイナミックパッケージについては、旅行会社により扱いが異なります。

たとえば、JTBは新幹線や飛行機を含んだダイナミックパッケージを「全国旅行支援」の対象商品にしています。日本旅行もJR+宿泊セットプラン、航空+宿泊セットプランが割引対象です。

一方、JR東海ツアーズは、ダイナミックぷらっとは対象ですが、新幹線ダイレクトパックは対象外にしています。ぷらっとこだまも対象外です。

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日帰りツアーも割引対象

日帰り旅行も、制度上は、旅行会社で申し込めば5,000円の割引対象になります。旅行会社の「日帰りツアー」は最大5,000円の割引対象になるということです。

ただし、各旅行会社で詳細を調べてみると、日帰りツアーを「全国旅行支援」の対象外としている会社が多いです。たとえば、JR東海ツアーズでは、日帰りフリープランは対象外となっています。

宿泊なしの個人旅行の場合は、割引の対象になりません。たとえばテーマパークに個人で日帰りで出かける場合は、「全国旅行支援」の対象外です。ただし、「テーマパーク日帰りツアー」という旅行商品を旅行会社で購入した場合は、割引の対象になる場合もあるでしょう。

ホテルのみも割引対象

「全国旅行支援」では、交通費を含まない旅行、つまりホテルだけを予約する場合も割引になります。この場合も40%の割引率は変わりませんが、前述したように5,000円が割引限度額となります。

たとえば、楽天トラベルやじゃらんといった宿泊予約サイトで予約した場合や、ホテルのウェブサイトや電話で直接申し込んだ場合が該当になります。10,000円のホテルをネット予約した場合、4,000円が割引となります。20,000円のホテルなら上限の5,000円割引です。

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シンプルな制度

以上が、「全国旅行支援」のルールの概要です。簡単にいえば、旅行会社や宿泊予約サイトで、割引対象となる商品を購入すれば、4割引となりクーポンがもらえます。

全体的に、利用者サイドから見ればシンプルな制度で、難しくはありません。

割引の上限金額が8,000円、宿泊のみなら5,000円に限られましたので、割引が満率(40%)で適用されるのは1泊あたり20,000円までのツアー、宿泊のみや日帰りなら12,500円までとなりました。価格の高いツアーやホテルでは割引率が低くなるため、「GOTOトラベル」で見られたような、高級ホテルブームが起こることはなさそうです。

2泊なら40,000円まで、3泊なら60,000円までとなります。東京を起点に考えると、たとえば20,000円の1泊2日京都旅行が12,000円に、40,000円の2泊3日北海道旅行が24,000円に、60,000円の3泊4日沖縄旅行が42,000円になります。

こうした「上限ギリギリ」を狙った価格帯の旅行ツアーが増えるかもしれません。

なお、QUOカードなど換金性の高い金券類をプラン内容や特典に含む商品は、どの旅行会社でも対象外です。

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旅行会社の対象ツアー

では、以下では、旅行会社ごとに対象ツアーをみていきましょう。なお、下記は各旅行会社に掲載された情報をまとめたものですが、記載されていない対象商品や、非対象商品もあります。適宜内容を追記します。

JTB

JTBでは、募集型企画旅行(「ダイナミックパッケージJTBMySTYLE」など)、手配旅行(宿泊のみ)、国内宿泊るるぶトラベルプランが対象になっています。
JTB(公式)

日本旅行

日本旅行では、宿泊プラン、JR+宿泊セットプラン、航空+宿泊セットプランが対象になっています。日帰りプラン、現地払いプランは対象外です。
日本旅行(公式)

楽天トラベル

楽天トラベルでは、国内宿泊と国内ツアー(ANA楽パック、JAL楽パック)が対象です。デイユースは対象外です。

楽天トラベル(公式)

じゃらん

じゃらんでは、じゃらん国内宿・ホテル、じゃらんパック(JALじゃらんパック、ANAじゃらんパック、赤い風船JRじゃらんパック)が対象です。
じゃらん(公式)

一休

一休では、サイト上にて【全国旅行支援対象】ラベルがある宿泊施設が対象になります。対象にならないのは、全国旅行支援対象事業者でない宿泊施設への宿泊や、日帰り(デイユース)のプランです。
一休(公式)

JR東海ツアーズ

JR東海ツアーズでは、ぷらっとフリープラン<JR+宿>(ずらし旅、ダイナミックぷらっとなど)や、50フリープラン<JR+宿>が対象です。

新幹線ダイレクトパック、ぷらっとこだま、日帰り(フリープラン)、宿泊のみのプラン、現地観光プラン、オプショナルプランなどは対象外です。添乗員同行プランは一部が対象となります。

JR東海ツアーズ(公式)

JR東日本国内ツアー

JR東日本国内ツアー(びゅうトラベル)では、ダイナミックレールパックなどが対象です。

JR東日本ダイナミックレールパック(公式)

JALパック

JALパックでは、JALダイナミックパッケージなどが対象となります。
JALパック(公式)

ANAトラベラーズ

ANAトラベラーズでは、ANAトラベラーズダイナミックパッケージ、ANAトラベラーズホテルなどが対象になります。

ANAトラベラーズ(公式)

近畿日本ツーリスト

近畿日本ツーリスト(KNT)は、詳細が未発表です。
近畿日本ツーリスト(公式)

東武トップツアーズ

東武トップツアーズでは、宿泊のみの事前払いプラン、宿泊と交通がセットになったプランで「全国旅行支援の対象」と記載がある旅行商品が対象です。

対象外商品は、宿泊のみの現地払いプラン、日帰りプラン、日光夜行・尾瀬商品、および東武旅倶楽部の一部商品です。
東武トップツアーズ(公式)

出張にも活用できる

「全国旅行支援」は、新幹線などを使った出張にも活用できます。たとえば、東京-大阪の宿泊出張を、旅行会社の該当ツアーで申し込めば格安になります。平日ならクーポン3,000円まで付いてきます。

平日に有利な設計になっていますので、往復の時間を確定できる出張なら、「全国旅行支援」を活用したいところです。往復の時間が不確定な場合、旅行商品(ツアー)では列車や飛行機の便の変更が難しいので、避けたほうがいいでしょう。

日帰りツアーは、多くの旅行会社で全国旅行支援の対象外になっていますので、日帰り出張で適用するのは難しいかもしれません。上述したように、JR東海ツアーズの新幹線日帰りパックも対象外です。

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キャンセル料は要注意

「全国旅行支援」の最大の注意点として、キャンセル料があります。

「全国旅行支援」のキャンセル料(取消料)は割引前の金額を基準に設定されています。

たとえば、旅行商品を前日にキャンセルする場合、標準旅行業約款では、取消料が40%と定められています。「全国旅行支援」でも40%という率は変わりませんが、割引前の金額が基準となります。

つまり、20,000円のツアーを割引適用の12,000円で購入した場合、前日のキャンセル料は8,000円です。4,800円ではありません。このように、「全国旅行支援」の40%の割引が満率で適用されている場合、前日キャンセルの場合は、実質的に67%のキャンセル料となってしまいます。

ちなみに、標準旅行業約款の取消料(国内旅行)は以下の通りです。どの旅行会社でも、おおむねキャンセル料はこの料率を適用してます。右枠は40%割引を適用された場合の、割引後価格に対するキャンセル料率の最大値(実質最大取消料)です。

旅行商品の取消料
取消日 通常の取消料 全国旅行支援の
実質最大取消料
20~8日前 20% 33%
7~2日前 30% 50%
前日 40% 67%
当日 50% 83%

 

出発当日や前日のキャンセル料が高くなるのは仕方ないことですが、7日前でも実質50%のキャンセル料が適用されるのは要注意です。

全国旅行支援の対象ツアーは、2022年10月11日から発売開始となります。人気の旅行先やホテルは、週末を中心に満室になる可能性も高いので、旅行計画を立てる場合はお早めに。(鎌倉淳)

「全国旅行支援」旅行会社公式ページリスト

JTB
日本旅行
近畿日本ツーリスト
東武トップツアーズ
じゃらん
楽天トラベル
一休
ゆこゆこ
JR東日本ダイナミックレールパック
JR東海ツアーズ
JALパック
ANAトラベラーズ











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