つくばエクスプレス延伸
つくばエクスプレスは、現在、秋葉原駅が起点ですが、これを東京駅まで延伸する計画があります。さらに、臨海地下鉄へ乗り入れて、銀座から晴海を経て国際展示場まで直通運転する構想もあります。
2016年国土交通省交通政策審議会答申198号に「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれました。東京駅までの延伸開業予定時期は未定です。
つくばエクスプレス延伸の概要
つくばエクスプレスは計画段階では「常磐新線」と言われ、東京駅が起点とされました。しかし、東京駅まで乗り入れるとなると難工事でお金がかかりすぎるため、秋葉原駅を起点として建設され、現在に至っています。
東京駅まで延伸する構想は今も残っています。ただ、現時点では経路や完成時期などの決定事項はありません。
2007年3月に公表された「運輸政策審議会第18号答申フォローアップ調査」によりますと、東京駅の位置は丸の内側仲通り地下、丸の内線東京駅と三田線大手町駅の中間に位置します。
秋葉原~東京駅間約2kmを大深度トンネルでつなぎ、建設期間約6年、概算事業費1,000億円と想定しています。東京駅は1面2線の島式ホームとされ、秋葉原~東京駅間に駅は設けられません。
2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、都心部・臨海地下鉄(東京駅~銀座~国際展示場)との一体整備が提案されています。実現すれば、つくばエクスプレスは、秋葉原から東京駅まで延伸し、さらに臨海地下鉄で銀座、晴海を経て臨海副都心の国際展示場まで繋がることになります。
ただ、現段階では計画の練度が低く、つくばエクスプレスの東京駅延伸の事業化、着工時期などは見通せません。
つくばエクスプレス延伸の沿革
1985年7月の運輸政策審議会第7号答申では、「2000年までに整備すべき路線」として、東京駅を起点に北千住を経由して守谷町南部までの路線が盛り込まれました。さらに将来は筑波研究学園都市までの路線延長を検討する、とされました。これが「常磐新線」で、つくばエクスプレスの原型です。
その後、1988年11月の常磐新線整備検討委員会「基本フレーム」取りまとめでは、秋葉原~筑波研究学園都市間を第1期工事とすることが決まりました。第2期線としていた守谷町-筑波研究学園都市間が第1期区間に格上げされた一方で、秋葉原~東京駅間は先送りとなっています。
2000年1月の運輸政策審議会第18号答申では、「今後整備について検討すべき路線」の一つとして、東京~秋葉原間が盛り込まれます。2005年度から2006年度にかけて、「運輸政策審議会第18号答申の鉄道・運輸機構等によるフォローアップ調査」が行われ、東京駅の位置や需要調査などが行われました。
その後、東京都が2015年7月10日に発表した「広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫」では、つくばエクスプレス延伸は「整備について検討すべき路線」とされました。
それを受けて、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」では、都心・臨海部地下鉄構想とつくばエクスプレス延伸との一体整備および直通運転が「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」として盛り込まれました。
つくばエクスプレス延伸のデータ
営業構想事業者 | 首都圏新都市鉄道 |
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整備構想事業者 | 未定 |
路線名 | つくばエクスプレス |
区間・駅 | 秋葉原~東京 |
距離 | 2.0km |
種別 | 未定 |
種類 | 普通鉄道 |
軌間 | 1067mm |
電化方式 | 1500V |
単線・複線 | 複線 |
開業予定時期 | 未定 |
備考 | -- |
つくばエクスプレス延伸の今後の見通し
つくばエクスプレスの東京駅延伸は、常磐新線構想の段階から予定されていたことです。そのため、実現に向けた機運は盛り上がっているのですが、事業性がカベになっていました。
東京駅に乗り入れるには、かなり深い位置にトンネルを掘らなければならないため、工事費がかかります。しかし、できあがっても東京駅が深すぎて不便で、利用が伸び悩むのでは、という懸念もあります。
そうした懸念から、つくばエクスプレスだけの延伸は難しいと見て、臨海地下鉄との一体整備案が出されました。これならば、丸の内仲通の東京駅を臨海地下鉄と供用できるうえ、つくばエクスプレスから銀座や臨海副都心への需要掘り起こしにも使えます。この計画により、つくばエクスプレスの東京駅延伸の可能性は高まったといえるでしょう。
とはいえ、臨海地下鉄はまだ構想段階で、事業化に向けた調査はこれからです。つくばエクスプレスの東京駅延伸も、実現には相当の時間がかかるでしょう。