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登山者位置確認システム「TREK TRACK」は普及するか。システムは画期的だけど、準備がちょっと面倒

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登山者の位置情報を常時確認できる携帯用端末が新たに開発されました。「TREK TRACK」というもので、携帯電波の繋がらない山岳地帯でも利用でき、電池の消耗が少ないのが長所。反面、あらかじめ端末をレンタルする必要があるうえに、使用できるエリアも限定的です。登山事故を減らせるポテンシャルを持ったシステムですが、果たして普及するのでしょうか。

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長距離無線技術を利用

「TREK TRACK」は、山での位置情報を追跡し、登山者の位置を常時確認できるシステムです。開発したのは博報堂アイ・スタジオで、2017年9月1日に一般向けサービスを開始します。

専用の端末をザックに入れて山に登れば、家族や外部の管理者が、ウェブサイトで位置情報のデータをリアルタイムで確認することができます。「LPWA」という長距離無線技術を使っているため、携帯が圏外になるエリアでも通信が可能。バッテリーは3、4日程度は持つということです。

トレックトラックロゴ
画像:博報堂アイ・スタジオプレスリリース

端末には「HELP」ボタンが装備されていて、万一の事故が起きた場合に、登山者は緊急事態を知らせることができます。HELPの知らせはTREK TRACK事務局に即座に伝えられ、事務局では24時間365日データを監視します。

事務局はHELP信号を受け付けた場合、まず本人へ電話で連絡し、つながらない場合は、あらかじめ登録してある緊急連絡先へ電話連絡するという仕組みです。

トレックトラックシステム
博報堂アイ・スタジオプレスリリース

端末をレンタルしなければならない

ここまで聞くと、「素晴らしいシステム」と思ってしまいますが、難点もあります。まずは、このシステムを利用する際には、端末のレンタルをしなければならない、ということ。海外旅行でモバイルwi-fiルータを借りるときの要領で、ネットで申し込み→宅配便で受け取りという手順が必要です。もちろん、使い終わったら郵送で返却しなければなりません。

使用できるエリアも限られています。サービススタート時で使えるのは、奥秩父の瑞牆山エリアのみ。使用可能エリアは今後広まっていくと思われますが、登山者が多いルートが中心になると見られます。

「LPWA」をつなげるためには、事業者が対象のエリアにゲートウェイデバイスを設置して独自のネットワークを構築する必要があるそうです。そうなると、全国津々浦々まで広めるには、相当のユーザが集まらなければならないでしょう。

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準備万端な登山者向け

現時点でこのシステムを使う人は、自分が行くエリアがシステムの対象エリアかどうかを調べた上で、事前に予約して端末を郵送してもらわなければなりません。そしてIDとパスワードを家族に知らせてから出発するわけです。まさに準備万端です。

ところで、山岳事故にはさまざまなパターンがありますが、多いのは準備不足での登山です。逆に言えば、「TREK TRACK」を使うような準備万端な人は、そもそも事故を起こしにくい登山者層なのではないか、ということです。事故を起こしやすい安易な登山者はこの端末を持つことはなさそうですし、事故を起こしにくい慎重な登山者ほど、このシステムが気になるのではないでしょうか。

登山者が少ない山は、当面対象エリアに含まれないでしょう。しかし、事故が起きたときに、こうしたシステムが真価を発揮するのは、登山者の少ないエリアなのではないか、という気もします。そうした意味でも、今後、エリアをどこまで拡充できるかも大きな課題となるでしょう。

トレックトラックデバイス
TREK TRACK端末。画像:博報堂アイ・スタジオプレスリリース

スキー場で威力を発揮?

もちろん、「TREK TRACK」が意味がない、というつもりはありません。限られたエリアで有用なのは間違いありませんし、たとえば山小屋や登山口のコンビニで端末レンタルするなどの施策が採られれば、使用者は増えそうです。

また、コース外滑走を認めているスキー場では、コースの外に出るための条件として、「TREK TRACK」の所持を義務づけるといったルールを設ければ、万一の際の捜索に効果がありそうです。

「TREK TRACK」は、すでに、かぐらスキー場での実証実験を済ませているそうですし、2018年1月にはバックカントリーエリアでの導入も予定しているとのことで、こうした使い方はポピュラーになりそうです。登山よりも、バックカントリースキーで威力を発揮しそうな印象を受けます。

利用しやすい形で普及を

素人考えでは、「TREK TRACK」をアプリとしてスマホに入れられれば、もっと普及するだろう、という気がします。しかし、山岳地帯ではスマホの電池の消耗が激しいことなどが理由で、スマホアプリでの提供は行われませんでした。たしかに、スマホの電池が切れたらおしまい、ではこのシステムの意味がないでしょう。

サービススタート時の端末レンタルは1日990円(オープン記念価格は無料)です。そのうち端末販売も始まると思いますが、素晴らしいシステムだけに、より登山者や、スキーヤー、スノーボーダーが利用しやすい形での普及を期待したいところです。(鎌倉淳)


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