東急田園都市線に「特急」が登場。途中停車駅は3駅のみ。期間限定「時差Bizライナー」は定着するか。

東急田園都市線に期間限定で「特急」が登場します。これは、東急が時差通勤の促進を目的として、早朝に運行するものです。停車駅は、中央林間、長津田、あざみ野、溝の口、渋谷です。

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7月の平日8日間に運転

東急電鉄では、東京都の通勤ラッシュ混雑緩和プロジェクト「時差Biz」に連動した取り組みとして、「グッチョイモーニング」という混雑緩和策を実施します。その一環として運転するのが、田園都市線の臨時特急「時差Bizライナー」。2017年7月11日から21日までの平日8日間に運転します。

運転本数は1日1本です。6時4分に中央林間を発車し、長津田、あざみ野、溝の口の順に停車し、渋谷に6時43分に到着。そのまま半蔵門線に直通して押上まで運行します。半蔵門線内は各駅停車です。

「時差Bizライナー」の時刻表は以下の通りです。

「時差Bizライナー」時刻表

中央林間06:04→長津田06:14→あざみ野06:21→溝の口06:29→渋谷06:43着→押上07:15着

田園都市線の急行の停車駅と比べると、青葉台、たまプラーザ、鷺沼、二子玉川、三軒茶屋の5駅が通過となります。急行の途中停車駅8駅のうち、時差Bizライナーが停まるのは3駅だけですから、「特急」の名にふさわしい通過っぷりです。

時差Bizライナー停車駅
画像:東急電鉄ニュースリリース

じつは急行より遅い

ただ、「時差Bizライナー」の中央林間~渋谷間の所要時間は39分。同区間の急行の標準所要時間は34~35分程度ですから、それに比べれば遅いです。

6時台は所要時間がやや長い時間帯ですが、中央林間を6時11分に出る後続の急行は、所要37分で渋谷に到着します。急行より5つも停車駅が少ない「時差Bizライナー」ですが、後続急行より中央林間を7分早発しても、渋谷に着く頃には差を5分にまで詰められてしまうのです。

東急のニュースリリースには、「渋谷到着8時台の準急電車と比べて、長津田間~渋谷駅間で約13分通勤時間を短縮し、オフピーク時間帯に短い所要時間で都心に向かうことができます」とあります。この表現は間違いではないものの、早朝時間帯とピーク時間帯の所要時間を比較して表示するのは、誠実とはいえません。なによりも、速さを求めるなら、後続の急行のほうが速いのです。

とはいえ、「Bizライナー」の途中停車駅が少ない点は魅力でしょう。たとえば長津田で乗車したら、あとは、あざみ野と溝ノ口しか利用者の乗り降りはありませんから、席に座れなくても落ち着いて乗っていられると思います。

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「特急停車駅」が興味深い

東急田園都市線で「特急」の設定は初めてです。その点で、今回の「特急停車駅」の設定は興味深いといえます。

特急停車駅は他社線との接続のある乗り換え駅に絞り、都内は渋谷まで全駅通過です。東急が力を入れて開発してきたたまプラーザも二子玉川も通過となりました。東急が田園都市線に特急を導入すると、こういう選択になるのか、とちょっと驚きました。

現在の田園都市線のダイヤを考えれば、急行より遅く停車駅が少ない「Bizライナー」が定着するかは、なんとも言えません。今回は夏休み前の短期間の運転に限っており、東京都の施策に対するお付き合いにもみえます。

ただ、今後、人口減少が始まってダイヤに余裕ができれば、田園都市線にも座席指定列車が登場する可能性はあります。そういう視点でみれば、田園都市線で初めて「特急停車駅」が発表されたことは、ひょっとしたら意味があることなのかもしれません。(鎌倉淳)

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