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「SL函館大沼」「SLニセコ」は復活できるか。福知山線事故がもたらしたSLの「新型ATS問題」。

JR北海道の島田修社長は定例会見を開き、函館とニセコ地域の観光SLについて、2015年度からの休止を検討していると発表しました。2015年度末の北海道新幹線開業に向けた準備や、在来線の安全対策に専念するためです。

休止の対象はゴールデンウィークや夏休みに函館本線で運行する「SL函館大沼号」と、秋の「SLニセコ号」、クリスマス時期の「SLはこだてクリスマスファンタジー号」の3列車です。いずれも人気列車で、2013年度は合わせて約17,000人が利用したとのことです。

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北海道新幹線準備で手一杯

島田社長は休止の理由について、「安全問題を最優先に取り組む中で、縮小したい」と話しました。函館地域は北海道新幹線開業に向けた検査や試験があり「相当タイトなスケジュールが予想される」ためです。また、2005年の福知山線の脱線事故後、国土交通省は急カーブで列車を自動減速させる新型ATSの搭載を求めていますが、手が回らないという事情も明かしました。実際には、北海道新幹線の準備よりも、この新型ATS搭載のほうが、ハードルが高い問題のようです。

SLニセコ
写真:JR北海道ホームページ

JR北海道は、他に釧網線の「SL冬の湿原号」も運転していますが、こちらは当面は存続する見通しです。函館線では新型ATSが必要で、釧網線では不要という理由は、新型ATSの義務化が当面は幹線に限られるためです。

幹線でSL運行は困難に

新型ATSの義務化は、2006年の「平成18年国土交通省令第13号」(施行日2006年7月1日)で定められました。それによりますと、新型ATS設置は「高速線区又は高密度線区」においては施行日から10年以内に行わなければならないのに対し、「低速線区かつ低密度線区」においては、最初に行う改築また改造の工事が完成するまで猶予されます。

要するに、幹線では2016年6月末までに設置しなければならず、ローカル線では事実上無期限の猶予があるわけです。そのため、釧網線では新型ATS問題から逃れることができ、今後もSLの運行が可能になります。一方、「SL函館大沼」「SLニセコ」については、新型ATSの装備がない限り、現在の区間での運転再開はできません。

新型ATSをSLに導入するには1両数億円かかるそうで、投資しても回収は難しいとみられます。そのため、「SL函館大沼」や「SLニセコ」は、北海道新幹線の開業後も運転再開されない可能性が高いと思われます。ただ、函館本線の長万部~小樽間が「低速線区かつ低密度線区」に分類されるのであれば、この区間での運転再開は可能かもしれません。

このSLの新型ATS問題は、日本各地のSL列車の運転にも影響が及びます。JR東日本は、すでに運転中の蒸気機関車に新型ATSを装備していますが、それ以外の会社では未装備のSLもあるからです。そのため、今後、全国的に幹線区間でのSL運転は減少する可能性がありそうです。

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