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スカイマークの「全席プレミアムシート」投入で航空業界変化の兆し。大手航空会社から「エコノミークラス」が消滅する?

スカイマークが、2014年3月末から投入するエアバスA330型機10機を全席プレミアムシートにすると発表しました。シート間隔は38インチで幅22インチ。日本航空の国内線プレミアムシート「クラスJ」とほぼ同等のゆとりを持ったシートで、1機あたり271席設置されます。

このA330型機は、羽田~福岡線、羽田~新千歳線など羽田発着の幹線のみに投入されます。これらの路線には、現在ボーイングB737-800型機が使用されていますが、座席数は177席にすぎません。A330型機は大型機のため、全席プレミアムシートにしても供給座席数は大幅に増えます。

新機材を投入する路線の普通運賃は据え置かれます。ただし、割引料金の体系を調整するなどして、平均販売単価は5%程度引き上げられる見通しです。

スカイマークは、国際線で投入予定のA380型機もプレミアム・エコノミーとビジネスクラスのみの設定にしており、「座席のプレミアム化路線」を鮮明にしたといえるでしょう。

スカイマークの西久保慎一社長は、「大手の航空会社は高い料金と狭いシートを利用者にこれまで強いてきた。全席プレミアムシート機で快適さと低価格をお客様に提供し競争に勝ち残りたい」と述べています。「LCCとの価格競争から距離を置き高品質で勝負したい」ということで、これまでの「格安路線」経営からやや方向転換したのかもしれません。

スカイマークプレミアムシート

ただ、これはスカイマーク独自の経営方針、というわけでもないようです。というのも、世界的に見て、航空会社の旅客のニーズには二つの流れが出てきているからです。

一つは、LCCのように狭い座席でもいいから、格安で移動したいというニーズ。もう一つは、少々お金を払っても良いので、エコノミーの狭い座席は勘弁して欲しい、というニーズ。言葉を換えれば、これまでの価格でエコノミーに乗るニーズは衰えつつあるようです。

こうしたニーズの変化の結果、LCCが隆盛する一方で、ビジネスクラスの割引運賃の人気も高まっています。それを受けて、外資系ではビジネスクラスの割引運賃を拡充しており、日欧路線でも30万円台のビジネスクラスが当たり前になってきました。つまり、一般人のレジャーユースでも使える価格に近づいてきたのです。

航空会社からみると、詰め込み座席を格安で販売する流れのほかに、ビジネスクラスを格安で販売する流れが大きくなっているということで、スカイマークは後者の流れに乗り換える準備を進めているのかもしれません

じつは、過去、日本の鉄道でも同じような現象が起きたことがあります。国鉄時代、輸送の主力を担ったのは詰め込み型のボックスシートの急行列車でした。しかし、やがて旅客は快適性を求めるようになり急行列車は廃れ、優等列車はほぼリクライニングシートの特急列車になりました。その間、特急料金も手頃な価格になり、「特別」な存在ではなくなっています。いっぽうで、格安を求める旅客は「青春18きっぷ」を握りしめ、普通列車のロングシートに揺られるようになりました。

航空会社にたとえると、従来型エコノミーシートはボックスシート、ビジネスクラスがリクライニングシート、LCCの詰め込み型シートがロングシートと表現できるかもしれません。

スカイマークの方針転換は、そうした時代の流れを察知した動きではないか、と筆者は考えます。だとすれば、今後、大手航空会社も追随するでしょう。となると、現状の「エコノミークラス」は消滅し、全て「プレミアムタイプ」か「詰め込みシート」になっていくかもしれません。

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