旅行総合研究所タビリスは、日本と世界を旅する人のための観光情報サイトです


LCC 大手航空会社 航空 航空会社

スカイマーク再建で、またANAの下請けが増えるのか。そろそろ羽田発着枠にコードシェアの比率を反映させては?

民事再生手続き中のスカイマークが22日、再生計画の素案を発表しました。出資額を180億円とし、投資ファンドのインテグラルが50.1%を、ANAホールディングスが19.9%を出資します。

スカイマークの取締役数は6名になり、3名をインテグラル、1名をANAが指名します。インテグラルが指名する取締役のうち1名が会長で、ANAが指名する1名が社長となります。ANAは自社出身者を社長に送り込むとみられます。

広告

独立は保たれる?

羽田空港の発着枠配分ルールでは、新規航空会社の独立性を守るため、大手航空会社(JALとANA)の関与を制限しています。すなわち、大手航空会社が議決権20%の以上の株式を実質的に保有するか、全役員の4分の1以上を派遣すると、その航空会社は大手の子会社とみなされ、独立して発着枠を獲得する要件を失います。

このため、ANAがスカイマークに20%以上を出資するか、2人以上の役員を派遣すると羽田発着枠を国に回収されてしまう可能性があります。ANAが出資を19.9%にとどめ、役員指名を1人にした理由はそこにあります。

これにより、形式的にはスカイマークの経営の独立は保たれるわけです。でも、そんなの信じる人いるのでしょうか?

スカイマーク

新規航空会社3社が下請け化

ANAはこれまでに、エアドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーに出資をして、羽田発着便でコードシェアをしてきました。3社は、コードシェア便の座席をANAに売ることで収入を安定させています。一方で、収入の何割かをANAの販売力に依存する形となり、これにより新規航空会社3社は、実質的にANAの下請けになってしまっています。

たとえば最近のスターフライヤーは、羽田~山口宇部線に毎日3便就航しましたが、代わりにANAは同じ便数を減らしています。つまりANAは自社の羽田~山口宇部線の一部便をスターフライヤーとのコードシェア便に移管したわけです。スターフライヤーは、ANAの路線を引き継ぐことで安定収益を得られますが、ANAの下請けという立場が明確になりました。

一方のANAは、一部便をスターフライヤーに任せることで、浮いた羽田枠を別路線に活用することができました。こうして、新規航空会社用に割り振られた羽田枠を、自らの望む路線に転用したのです。

エアドゥ、ソラシドエアと同列

同様の手法を採るならば、ANAはスカイマークの羽田便にコードシェアをして、浮いた羽田枠を他路線に振り向ける可能性があります。まったくの妄想ですが、たとえばスカイマークを羽田~高松線に就航させ、ANAが減便する、ということもできるわけです。

ANAの長峯豊之・上席執行役員は、記者会見で「スカイマークは独立した企業として今後も運営し続ける。路線、便数、運賃はこれまで通りスカイマークに独自に決めてもらいたい」と述べたそうです。

額面通り受け取ればスカイマークの独立は保たれるわけですが、同じ会見で長峯氏はこうも述べています。「我々としてはエアドゥやスカイネットアジア航空も独立した航空会社だと思っている。スカイマークについても同じだ」。結局、エアドゥやソラシドエアと同列なのです。

広告

インテグラルの狙いは?

ただ、スカイマークが上記3社と異なる点もあります。何よりも、別の大株主が議決権の過半数を握っている点は大きな違いで、インテグラルが真の独立経営にこだわれば、ANAはそれを押し切ることはできません。

当初、ANAは自社に近い銀行などを使って実質的に議決権の過半数を握ることを狙っていて、インテグラルがそれを拒否したという報道もあります。インテグラルはスカイマークのスポンサーですが、そもそもANAの出資に難色を示していたとも報じられています。これらが事実ならば、スカイマークのANA下請け化は防がれるのかもしれません。

では、なぜインテグラルはANAの出資を認めたのか。記者会見でインテグラルの佐山展生代表は「大口の債権者の同意を得るにはエアラインの支援が必要」と述べており、JALの出資を仰げない現状ではANAの他に選択肢はなかった、ということのようです。

大口の債権者とは、おもにエアバスを指すのでしょう。エアバスの主張する違約金額は莫大で、インテグラルはANAの力を利用してその減額交渉を有利に導いたうえで、スカイマークの真の独立を保持し続けることを狙っているのかもしれません。

コードシェアなしでも乗客はいるが

でも、本当にそうなのでしょうか? そんなことできるのでしょうか? その答えを筆者がわかるわけありませんが、一つ言えるのは、インテグラルは投資ファンドであり、最終的には利益を追求せざるを得ない立場にあるということです。そのため、ANA下請けのほうが利益が得られると判断すれば、そうなる可能性を否定できません。

現時点では、スカイマークは、上記3社に比べれば販売力も強いので、コードシェアせずとも乗客を確保できています。ただ、いったんコードシェアを開始し、安定的な収入をANAから供給され続ければ、販売力が衰え、やがて下請け会社になってしまう可能性はあるでしょう。

割を食うのは消費者

ところで、現在の羽田国内線発着枠は、1日あたりJAL184.5便、ANA172.5便です。そこにエアドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの計71便を足せばANA勢力で243.5便に及びます。さらにスカイマークの36便を加えると、279.5便に達します。全体の約6割がANAの手に渡るわけです。

航空会社間の競争を促すなら、コードシェアして仕入れた座席は、その比率に応じて羽田発着枠から差し引いて配分しなおすべきでしょう。ANAがコードシェアで別の航空会社から1便につき25%の座席を買うのなら、コードシェア4便で1便分の羽田発着枠とみなし、ANAから没収するのが筋ではないでしょうか。

要するに、羽田発着枠にコードシェアの座席比率を反映させるのです。浮いた枠は、JAL系でもANA系でもない会社に割り振ります。いまなら、春秋航空日本かエアアジア・ジャパンが欲しがるでしょう。事ここに及んでは、「第3極の航空会社」がスカイマークである必要はないのです。

そろそろこうした施策を行わないと、第3極はいつまで経っても育ちません。「2割以下の出資で新規航空会社の枠を大手が支配する」という構図は卒業するときでしょう。今のままでは航空運賃は高止まりして、結局、利用者が割を食うのです。

広告

広告

-LCC, 大手航空会社, 航空, 航空会社

  あわせて読みたい