首都圏の高速道路2016年新料金制度まとめ。首都高遠距離と第三京浜、横浜新道は大幅値上げ、横横道路は値下げ

2016年4月1日から、首都圏の高速道路料金制度が大きく変わります。首都高を含めた周辺高速道路料金の水準を原則として同額になるのが柱。「継ぎ目のない」シームレスな料金制度へ移行します。

ごくおおざっぱにいえば、これまで比較的安かった首都高速や第三京浜、京葉道路が値上げ。やや割高だった圏央道や横浜横須賀道路は値下げとなります。ポイントを絞ってまとめてみましょう。

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高速道路料金制度変更3つのポイント

今回の料金制度改定について、国土交通省から公表された資料では、「首都圏料金の賢い3原則」として、以下の3つが掲げられました。

① 利用度合いに応じた公平な料金体系
② 管理主体を超えたシンプルでシームレスな料金体系
③ 交通流動の最適化のための戦略的な料金体系

実際に発表された内容は複雑なので理解するのが難しいのですが、要点をまとめると、主に下記の3点がポイントのようです。

・料金水準を、2015年現在の高速自動車国道の大都市近郊区間に統一。
・車種区分を、軽自動車・二輪、普通車、中型車、大型車、特大車の5区分に統一。
・ETC車は経路によらず、起点と終点間の最短距離で料金計算をする。

首都圏の高速道路料金は現在、定額制と距離制が混在しています。今回の変更で距離制に統一され、原則として1kmあたり36.6円となります。ただ、これをそのまま当てはめると値上げ幅が大きすぎるので、一部区間では激変緩和措置がとられます。

たとえば、首都高速の場合、計算上は最長区間で2,900円(現行930円)に跳ね上がります。そのため、激変緩和措置で1,300円の上限が設けられます。

車種区分については、「軽・二輪」「普通車」「中型車」「大型車」「特大車」の5区分に統一されます。首都高速の場合は、現在2区分ですが、これが5つに細分化されることになります。

最短経路での料金計算は、首都高速への車両流入を減らし、圏央道へ誘導するための施策のようです。これにより、たとえば海老名JCTからつくばJCTに向かう場合、東名高速道路、首都高速、常磐自動車道を通るルートと、圏央道だけを使うルートで、料金は同額になります。

以下では、各路線について解説していきます。特段の記述がないかぎり、ETC普通車の料金です。

首都高新料金

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首都高速の新料金

首都高速のETC車の基本料金は、普通車の場合、現行の「6kmごとの料金距離に応じて加算される料金体系」から、「0.1kmごとの料金距離に応じて10円単位で加算される料金体系」になります。

激変緩和措置として上限及び下限料金が設定され、普通車の場合、上限料金が1,300円、下限料金が300円となります。現金車は、普通車の場合、一部の区間を除いて1,300円の上限料金となります。

首都高のETC車の料金は以下の通りです。

軽・二輪 270円~1,070円
普通車 300円~1,300円
中型車 310円~1,380円
大型車 390円~2,040円
特大車 460円~2,600円

料金額は0.1㎞毎の距離に応じて、10円単位で加算されます。

首都高速の新割引制度

ETC普通車向けのおもな割引制度としては、「都心流入割引」、「都心流入・湾岸線誘導割引」が設定されます。

「都心流入割引」とは、「外環接続部相当の放射道路の端末部と都心環状線間の利用は、端末部から一番近い都心環状線の出入口までの料金を上限」とするもの。

わかりにく表現ですが、外環と接続する場所から都心環状線まで利用した場合、都心環状線の最も近いインターまでの料金で、都心環状線のどこで降りてもいいですよ、という仕組みです。たとえば、美女木~神田橋の料金も、美女木~芝公園の料金も同じ、ということになります。

この割引は、外環ができていない中央道や東名高速、東関東道、京葉道路などとの接続部(高井戸や用賀など)でも適用されます。それが「外環接続部相当の放射道路の端末部」という意味です。

「都心流入・湾岸線誘導割引」とは、横浜方面~都心環状線間の利用で、湾岸線を経由した場合は、上限料金を普通車930円などとするものです。これまであった中央環状線迂回利用割引は廃止されるようです。

首都高速の新・料金例

では、首都高速の具体的な料金を普通車を例にみてみましょう。

箱崎~外苑 8.2km、420円
箱崎~舞浜 13.5km、590円
霞ヶ関~高井戸 13.7km、600円
銀座~用賀 17.8km、600円(都心流入割引)
初台南~空港中央 18.7km、760円
神田橋~戸田南 20.0km、800円
汐留~みなとみらい 31.8km、1,150円
三軒茶屋~新井宿 32.2km、1,190円
舞浜~山下町 41.3km、1,300円

価格的には、10~20kmくらいを走る場合、現行とそれほど大きな差はありません。一方、遠距離を乗る場合は、大幅な値上げになります。下限料金は普通車で300円になりましたので、5km程度を乗る場合も値下げになります。

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第三京浜・横浜新道の新料金

第三京浜と横浜新道は値上げです。第三京浜・玉川~保土ケ谷間は260円が390円に大幅値上げ。玉川からの料金は、京浜川崎が50円、都築が190円、港北が250円、羽沢・保土ケ谷が390円となります。

横浜新道は全線均一現行210円が320円になります。こちらは約50%の大幅値上げです。

横浜横須賀道路・新湘南バイパスの新料金

横浜横須賀道路は、現行の料金水準がやや割高です。今後は、全線を利用した場合の料金が950円(普通車)に値下げされます。狩場~馬堀海岸の場合、現在1,440円しますので、大幅値下げとなります。

狩場からの料金は、別所210円、日野360円、港南台410円、朝比奈590円、逗子700円、横須賀740円、衣笠840円、佐原860円、浦賀と馬堀海岸が950円となります。

新湘南バイパスは、当面、普通車の料金は現行料金のままです。

京葉道路・千葉東金道路の新料金

京葉道路は、区間をA~Fの6区間に分ける方式は現行と同じです。首都高速と連続利用と地域内利用で料金区分を分け、地域内利用については、当面、現行料金に据え置きます。

首都高からの連続使用の場合は篠崎~船橋が値上げとなり、篠崎からの料金はA区間(船橋)が230円、B区間(幕張)が350円、C区間(宮野木)が480円、D区間(穴川)が600円、E区間(千葉東)が730円、F区間(蘇我)が850円となります。

千葉東金道路は、普通車に関しては据え置きです。

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外環道の新料金

東京外環道については、圏央道の境古河~つくば中央の開通時(2016年度内予定)に合わせ、ETC車は対距離制に移行、ETC車以外は均一料金制を継続し上限料金を適用します。

外環道は現行510円ですが、料金変更後は、大泉JCT~三郷南が750円に、大泉JCT~川口JCTは510円で据え置き。川口中央~川口JCTは270円に、大泉JCT~草加は660円になります。

また、外環道の料金は、他の道路とは別に計算します。外環道は利用1回あたりの固定額(ターミナルチャージ)がかかり、いわば打ち切り料金です。

2016年4月からは、ETC車に「外環道迂回利用割引」が導入されます。これは、首都高速の都心環状線内出入口を発着し放射高速道路を利用する車が、東京外環道を1JCT間のみ迂回利用した場合、外環道料金は無料になるという制度です。

具体的には、東北道から外環道・首都高池袋線を経由して都心環状線に入った場合、外環道が無料になります。首都高川口線を経由するのと同料金にすることで、交通を分散させようという施策です。

注意点として、都心環状線を通り抜けて放射線の出入口(三軒茶屋、代々木など)を利用した場合、この割引は適用外になります。

外環道迂回割引は2016年4月1日から適用ですが、外環道の料金変更は、上述の通り圏央道境古河~つくば中央の開通時に持ち越されるようです。

圏央道の新料金

今回、もっとも報道で注目されているのが圏央道です。圏央道は、これまでやや割高な料金設定でしたが、料金変更で、東名や東北道など他の高速道路と同様の水準になります。さらに、ETC2.0搭載車については割り引きを追加します。

海老名からの新料金は、圏央厚木が210円、相模原相川が460円、相模原が770円、高尾山960円、八王子西1,160円、青梅1,670円、入間1,820円、坂戸2,460円、桶川北本2,730円、白岡菖蒲3,070円、境古河3,800円などとなっています。

つくば下総からの新料金は、下総まで1,380円、ETC2.0車は1,180円です。松尾横芝からの新料金は、東金610円、木更津東2030円です。ETC2.0車は、東金530円、木更津東1720円になります。

また、圏央道の料金は、他の高速道路と連続利用する場合、ターミナルチャージは他の高速道路と合わせて1回分になります。

複雑すぎてわからない

と、ここまで首都圏の新高速道路料金の概要をまとめてみました。一言でいうと、「変更内容が複雑すぎてわからない」。そのため、間違っているところがあるかもしれません。その際はご容赦、ご一報ください。すいません。

方向性としては、料金・車種制度の統一化が図られ、シンプルな制度に近づけようという試みに見えます。それだけ、これまでの料金制度が路線によって違いすぎた、ということなのでしょう。

全体的には、値下げになる区間が多いとはいえません。また、迂回して同料金といわれても、ガソリン代がかかるので、安く行けるわけでもありません。その意味で、メリットを受ける利用者は限られそうな料金改定でしょう。せめて、国土交通省の思惑通り、交通分散による渋滞減少が実現すればいいのですが。(鎌倉淳)

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