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地方私鉄にデュアルシートは広まるか。しなの鉄道が有料ライナーで導入へ

首都圏私鉄ではブーム

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しなの鉄道が、115系に代わる新型車両を導入すると発表しました。JR東日本のE129系をベースとしたもので、一部編成はデュアルシート(ロング・クロス転換シート)とし、有料ライナーなどで運転します。

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115系を置き換え

しなの鉄道は、JR信越本線を引き継いだ第三セクター鉄道です。JR東日本から分離される際に譲渡された国鉄型電車の115系を22編成(59両)保有していますが、近年は老朽化が顕著になってきました。

同社の115系は1978年に製造された車両が多く、また、すべての車両は製造から約40年が経過しています。

近年は故障が増えていますが、JRで115系の廃車が進んだことで修理用部品の調達も困難になっています。そのため、同社では、保有の115系全車について更新する方針を決めました。

50両規模の大量更新のため、中古車の調達が難しく、全て新車となります。導入を計画している新型車両は、総合車両製作所の「sustina(サスティナ)」モデル。上越線などで運行しているE129系と同じ20メートル車3扉のS23シリーズです。

E129系
画像:しなの鉄道ニュースリリース

3編成が「デュアルシート」に

車両は2両を26編成導入します。2020年度から2026年度にわたり、順次更新していきます。

注目は、3編成で導入される「ライナー使用車」でしょう。東武鉄道「TJライナー」などで使われている「ロング・クロス転換シート」、いわゆるデュアルシートを導入します。

デュアルシートは、普通列車として運転する場合はロングシート、ライナーなどでの使用時はクロスシート、といった使い方ができます。この車両を使い、しなの鉄道では、クロスシートの座席指定の有料ライナー列車を復活させます。

しなの鉄道新型車両座席配置
画像:しなの鉄道ニュースリリース

しなの鉄道では、2015年まで「しなのサンライズ号」「しなのサンセット号」を189系で運行し、有料ライナーとしていました。その後、通勤時間帯の有料ライナーは姿を消していますが、新型車両導入で復活することになります。

デュアルシート車は初年度に投入されるため、有料ライナーは2020年度中に登場しそうです。

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首都圏私鉄でブーム

デュアルシートは、近鉄が先鞭をつけ、近年では東武鉄道が「TJライナー」に導入し、ラッシュ時の有料着席サービス用車両として定着させました。西武鉄道「S-TRAIN」、京王電鉄「京王ライナー」などが追随しています。

東急電鉄も大井町線で導入する計画で、首都圏私鉄ではデュアルシートを使った有料着席サービスがブームになっていると言ってもいいでしょう。

長野クラスの地方都市であっても、ラッシュ時に着席需要があるのは確かです。しかし、首都圏に比べればその需要は小さいもの。しなの鉄道は、有料着席サービスの再開を目指すにあたり、専用の車両を持つのは得策でないとして、デュアルシート車を選択したのでしょう。

地方私鉄に広まるか

しなの鉄道は、ライナー用車両の用途として、朝夕は現状の快速列車の一部を有料ライナーに変更して使用し、それ以外の時間帯はロングシートの一般車両として使用するとしています。また、土休日は観光用の有料ライナーとして使用します。

デュアルシートにより、小さくても確実に存在する着席需要にきめ細かく対応し増収を狙うわけです。仮に、有料着席サービスが不調になっても、ロングシート車として使い続けることはできますので、無駄な車両にはなりません。

こうしたデュアルシートによる有料着席サービスは、鉄道会社にとって貴重な増収策になりますので、今後、地方でもっと広まってもおかしくはありません。

ただ、地方私鉄では新車の導入自体が珍しいもの。したがって、当面は、地方私鉄ではしなの鉄道だけの「名物」になりそうです。(鎌倉淳)


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