「三連休乗車券」は意外に使える。北海道新幹線開業前の「さよなら旅」には好適!

2013年夏から発売が開始された「三連休乗車券」。3連休に限り、JR東日本全線とJR北海道の函館以南などが乗り放題になるきっぷです。

2009年度まで発売されていた「三連休パス」が特急自由席も乗り放題だったのに対し、三連休乗車券の効力は乗車券部分のみ。しかも2012年度まで発売されていた「スリーデーパス」が当日も購入可能だったのに対し、三連休乗車券は前日までの発売。こうした「改悪」が鉄道ファンに不評で、筆者も「スリーデーパス」になってからは利用をしていませんでした。

が、北海道新幹線開業を2015年度に控え、廃止される前に訪問しておきたい場所が増えてくると、三連休乗車券を見直さざるを得なくなりました。青函エリアへの訪問を検討すると、三連休乗車券以外に利用しやすいお得なきっぷがないのです。普通にきっぷを購入すると、東京~江差の片道で1万1550円。三連休乗車券は1万3000円ですから、江差までの片道で、9割以上の元が取れてしまうのです。

485系白鳥

筆者の場合、近く姿を消しそうな特急「いなほ」の485系車両にも乗り納めし、さらに廃止議論が始まった弘南鉄道大鰐線に乗車、北海道新幹線開業で姿を変える海峡線の津軽今別駅と、姿を消しそうな知内駅を訪れる旅を計画しました。江差線は何度か乗っているので、途中の湯ノ岱を訪問して引き返してきます。これらの旅のJR部分の乗車券が1万3000円で済んでしまうのですから、お得です。

ルートは以下の通り。
東京→(上越新幹線)→新潟→(特急いなほ)→秋田→(特急つがる)→大鰐温泉→(弘南鉄道)→中央弘前→(弘南鉄道)→大鰐温泉→(普通)→青森→(普通)津軽二股→(徒歩)→津軽今別→(普通)→知内→(函館バス)→木古内→(普通)→湯ノ岱→(普通)→木古内→(特急白鳥)→蟹田→(特急白鳥)→新青森→(東北新幹線)→東京

この経路の特急料金は以下の通り。
東京→新潟 4,300円 自由席
新潟→秋田 1,200円 指定席(乗継割引)
秋田→大鰐温泉 1,300円 自由席
蟹田→新青森 250円 自由席(乗継割引)
新青森→大宮 5,800円 指定席
合計 12,850円

ということで、三連休乗車券とあわせた総額では2万5850円。かつての「三連休パス」2万6000円よりも、総額では安くなりました。

もちろん、これは一つの例であり、特急に乗る距離があと少し長ければ、三連休パスより高くつくことでしょう。たとえば筆者は「青函特例」を利用して蟹田~木古内間は特急料金を払っていませんが、この区間で特例を使わなければ、合計2万6000円をオーバーします。

とはいえ、東京から青森まで特急で東北1周をしてこの価格ですので、これ以上特急に乗る機会はそれほどないと思われます。「特急に乗りまくる」ことを目的とする旅は別として、東北エリアをぐるりと回る程度の旅なら、三連休乗車券でも三連休パスでも、価格的には大きな差はない、ということになります。

実際には、筆者は帰路の「新青森→大宮間」は、グリーン車を使いました。三連休の夜で指定席が混んでいて取りにくかったことと、長距離なのでゆったり帰りたい、という考えからです。最後のひと区間だけグリーン車にする、という選択ができるのも、乗車券のみのフリーきっぷだから、といえるでしょう。

「何がお得か」というのは、どういう旅をするかによって異なります。新幹線を使って日帰り旅行を3日繰り返すような旅や、特急列車完乗を目指す旅をするなら、三連休パスは「神きっぷ」で、三連休乗車券はその足元にも及びません。

ただ、乗車券部分のみがフリーになっているきっぷは、アレンジがしやすいのは事実です。三連休乗車券は、本体価格は十分安いので、「意外に使える」というのが、筆者の結論です。とくに、北海道新幹線開業を控えて、「さよなら旅」の動きのある青函エリアを訪れるには、好適なチケットといえるでしょう。

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