三江線の江津~浜原間が2014年7月に復旧へ。日本屈指の赤字ローカル線が、不死鳥のようによみがえる理由

2013年8月の豪雨で被災し、運休しているJR三江線の江津~浜原駅間(50.1km)が、2014年7月中に運行再開できる見通しとなりました。JR西日本米子支社が発表しました。

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復旧が危ぶまれたが

三江線は、島根県の江津駅と広島県の三次駅を結んでいる全長108.1kmのローカル線です。2013年8月24日未明に島根県西部を中心に発生した集中豪雨の影響で全線が運休となりました。

9月1日からは浜原~三次間58.0kmのみ運転を再開しましたが、残る江津~浜原間50.1kmは線路内への土砂流入や法面の崩壊、井原川橋梁の橋脚流出など72カ所で災害が発生し、現在も運休中。その被害の大きさから復旧が危ぶまれていました。それが復旧されると聞いて、驚いた人も多いでしょう。

三江線
写真:江津市ホームページ

岩泉線と並ぶローカル線

なにしろ、三江線といえば、東の岩泉線と並ぶ赤字ローカル線として知られてきました。その岩泉線も土砂災害に遭い廃止が決定。ならば三江線もこのまま廃止されるのではないか、と連想されました。似た路線でやはり橋脚を流出した只見線も、復旧工事は手つかずです。岩泉線も只見線もJR東日本の路線。それより企業体力の乏しいJR西日本の三江線で、まさか橋脚が建て直されるとは、と筆者も驚きました。なにしろ、三江線内各駅の乗車人員(一日平均)は、2009年で324人。鉄道が必要不可欠とは思えない区間なのです。

今回の復旧工事では、土石流が発生した江津市桜江町の斜面など6か所の復旧工事を島根県が担当し、治山ダムなども県が建設するそうです。林野庁の「災害関連緊急治山事業」を活用した公的資金支援のスキームを構築。島根県の負担は約4億8000万円で、復旧工事の総額は10億8000万円になる見込みとのこと。公的資金を活用することでJR西日本の負担額を減らし、復旧工事に取りかかることが可能になったようです。

1日300人しか利用しない赤字路線に10億円も投じる価値があるのかどうかはともかくとして、地元とJRが国の支援も得て復旧にあたった努力は評価されてもいいでしょう。岩泉線なきいま、「日本一の過疎路線」となった三江線は、まさに不死鳥のようによみがえります。復旧したら、応援をかねて訪れてみてはいかがでしょうか。

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