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銀座~臨海副都心の「地下鉄新線構想」を東京都中央区が発表。BRTとの競合路線は実現するのか?

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東京都中央区は、銀座から東京国際展示場に至る新しい地下鉄路線の構想を発表しました。2020年の東京オリンピック選手村の予定地近くなどに、地下鉄新線を建設する計画です。延長4.8kmの新線計画で、事業費は概算で2000億円弱と見込んでいます。降って湧いたような地下鉄新線計画ですが、実現可能性はあるのでしょうか?

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延長4.8kmの新路線

この地下鉄新線計画は、銀座から晴海を経て臨海副都心エリアまで縦断する路線です。このエリアは鉄道の空白地帯ですが、東京オリンピック選手村の建設予定地を含んでおり、再開発によって人口の増加が見込まれています。そのため、中央区は2014年度に、「都心部と臨海副都心を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査委員会」を設置して、同地区を経由する新線構想の検討に着手していました。

2015年6月8日の区議会環境建設委員会で、検討結果として新銀座駅(仮)と新国際展示場駅(仮)を結ぶ第三セクターの新線構想を明らかにしました。新銀座駅では既存の東京メトロ銀座駅に、新国際展示場駅ではりんかい線(東京臨海高速鉄道)国際展示場駅に接続します。両駅の中間に駅を3つ設置します。駅の予定位置は未公表で、他の地下鉄路線との相互乗り入れは未検討です。

新線の概算事業費は、駅などの施設を5両編成対応とする場合に1625億円、10両編成の場合に1995億円で、建設に5年かかると見込んでいます。開業予定時期は未定ですが、収支計算のために便宜上、2025年としています。

中央区地下鉄「都心部と臨海部を結ぶ地下鉄新線の整備に向けた検討調査報告書」より

「中央区臨海地下鉄」のポイント

報告書のポイントをまとめると以下のようになります。

・整備、営業主体は第3セクター。
・都市鉄道整備事業費補助の適用を受ける。
・運賃は東京臨海高速鉄道並み。
・銀座駅付近と国際展示場駅付近を結ぶ。
・営業キロ4.8kmで中間駅3 駅を含む5 駅を想定。
・全線を9.1分で走行。
・新銀座駅からの延伸については今後の検討課題。
・2025年開業を想定して試算。
・運転本数は朝ピーク時間帯が15 本/時(4 分間隔)、オフピーク時間帯が8 本/時(平均 7 分 30 秒間隔)。
・輸送人員は、2025 年開業時で約12万人/日、5 年後の2030 年で約13万人/日。
・輸送密度は、約8万人キロ/kmで、横浜市営地下鉄1・3号線、東京臨海高速鉄道、京急空港線、東京モノレールとほぼ同程度。埼玉高速鉄道、ゆりかもめの約2倍。
・5両編成想定で15年、10両編成想定で19年で収支黒字化。

BRT計画は考慮せず

同区間には、別の交通ネットワーク計画もあります。東京都が進めているBRT(バス高速輸送システム)で、2019年度の運行開始を予定しています。BRTルートはこの地下鉄新線ルートとほぼ被りますが、調査報告では、需要予測の見積もりにおいて、「東京都で検討している BRT はルート等が不確実であるため考慮しない」としています。

そのうえで、「本路線との競合という位置付けではなく、BRTだけでなく、既存の鉄軌道や路線バスも含めて、交通モード間の適切な役割分担や連携を図る必要があり、そのための検討を実施することが今後の課題である」と記述しています。お役所言葉でわかりにくいですが、簡単にいえば「BRT計画はとりあえず無視します」ということのようです。

地下鉄とBRTのどちらが便利か

銀座付近から臨海部への新たな交通機関が必要なことに異論は少ないでしょうが、BRTと地下鉄を比較すると、必ずしも地下鉄が優位とは限りません。というのは、このルートで地下鉄を建設するとなると、かなり深い位置にトンネルを掘らなければならないからです。駅の位置も深くなるはずで、使いやすい地下鉄にはならない可能性があります。

仮に地上にBRTが走り、地下深くに地下鉄路線が走った場合、利用者はどちらを選ぶのでしょうか。地下鉄は運賃の高い第三セクターで、メトロや都営に乗り換えると割高になります。BRTは東京駅にも直通できますが、地下鉄は銀座駅で乗り換えが必要です。このように地下鉄のほうが不便な部分もありそうです。

次期答申での採択狙う

東京圏の鉄道ネットワークの整備は、旧運輸省の運輸政策審議会が2000年に出した答申18号に沿って進行してきました。この答申が2015年を目標年次としているため、現在、国交省では「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」を中心に、次期答申の内容を審議しています。

東京に地下鉄新線を作るなら、この次期答申に盛り込まれることが必要です。中央区の地下鉄計画がこのタイミングで発表されたのは、次期答申に間に合わせるためとみられます。

普通に考えたら、東京都が推進しているBRTの運行開始後、その状況を見極めたうえで、地下鉄建設を判断する、という順序になるでしょう。ただ、答申は十数年に一度しか出ませんので、今回を逃したら答申盛り込みが2030年頃になってしまいます。それでは遅すぎるので、このタイミングでの調査発表となったのではないでしょうか。

ということで、実現可能性はある計画だと思いますが、実際に建設されるかどうかは、まだ不透明という印象です。


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