日豊線高速化に意味はあるか。宮崎~鹿児島中央が1時間30分に

博多~宮崎間で2時間台も可能

宮崎県が、JR日豊線の高速化に関する調査結果をまとめました。それによると、現在約2時間10分かかっている宮崎~鹿児島中央間を、約1時間30分に短縮できるとのこと。整備する意味はあるのでしょうか。

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2000万円かけ調査

日豊線高速化の調査は、宮崎県が2017年度に2000万円の予算をかけ、鉄道の土木設計を行うJR九州コンサルタンツに委託して行われました。対象区間は大分駅~鹿児島中央駅間の約333kmです。

同様の調査は、1999年から2000年にも実施され、当時は約52億円で宮崎~鹿児島間を14分短縮できるとの結果が出ています。それから20年を近くを経て、技術の進歩や人件費・資材費の変化を受けて、県が改めて調査を実施したものです。

調査結果によりますと、路盤強化やカーブの改良、一部区間で新たな線路の建設を行い、振り子式の新型車両を導入した場合、大分~宮崎間の所要時間は27分短縮され約2時間40分に、宮崎~鹿児島間は41分短縮され約1時間30分になると試算されました。この整備費用として、大分~宮崎間が978億円、宮崎~鹿児島間が1,784億円かかります。

一方、振り子車両の導入や新たな線路の建設を行わず、一線スルー化など線路や駅の改良にとどめた場合、宮崎~鹿児島中央間は10分11秒、大分~宮崎間は4分55秒の短縮にとどまります。この整備費用は、大分~鹿児島中央駅間で151億円と試算されています。

にちりん

新幹線より1ケタ安いが

宮崎県など沿線自治体で作る「東九州新幹線鉄道建設促進期成会」では、2015年度に東九州新幹線の調査も行っており、新幹線を整備すると、大分~宮崎間が41分、宮崎~鹿児島中央間が29分で結ばれるとしています。費用は1兆8950億円と試算されました。

2兆円規模の新幹線建設に比べれば、日豊線の高速化事業はせいぜい2000~3000億円規模で、文字通りケタが違います。ただ、速くなっても大分~鹿児島間は4時間程度かかるわけで、全区間での費用対効果には疑問が残るところです。

整備する意味があるとすれば、宮崎~鹿児島間でしょうか。この区間の在来線が最大限高速化されれば、九州新幹線と鹿児島中央駅で乗り継ぐことにより、博多~宮崎間が3時間を切ることになります。2時間台となれば、飛行機や高速バスに対して競争力を高めることが可能になるので、検討の余地はありそうです。(鎌倉淳)

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