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ジェットスターとピーチの2大LCCの2014年決算を比較する。両社とも売上倍増も、損益は明暗分かれる

ジェットスター・ジャパンの2014年6月期決算がわかりました。売上高は290億円と、昨季に比べ倍増。一方で、営業赤字は107億円で、昨年よりやや悪化、最終赤字は111億円にのぼりました。これは官報に公告された数字で、ジェットスター・ジャパンとしては第3期の決算です。ジェットスター・ジャパンの運航開始は2012年7月ですので、運航開始後としては2度目の決算となります。

ピーチはすでに2014年7月の官報に公告しています。これにより、ジェットスターとピーチという、日本の2大LCCの最新決算が出揃いました。両社の決算を比べてみましょう。

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ジェットスター、ピーチの最新決算

■ジェットスター・ジャパン
第3期決算公告(2014年6月期) 2014.10.10官報
資本金115億円 資本剰余金115億円 利益剰余金-225.85億円
売上290.91億円 営業損失107.29億円 経常損失112.85億円 当期純損失111.01億円

※参考:昨年度決算
第2期決算公告(2013年6月期) 2013.10.15官報
資本金60億円 資本剰余金60億円 利益剰余金-114.84億円
売上128.19億円 営業損失90.58億円 経常損失88.22億円 当期純損失88.34億円

■ピーチ・アビエーション
第4期決算公告(2014年3月期) 2014.07.11官報
資本金75.15億円 資本剰余金74.85億円 利益剰余金-17.73億円
売上305.95億円 営業利益20.07億円 経常利益17.10億円 当期純利益10.46億円

※参考:昨年度決算
第3期決算公告(2013年3月期) 2013.08.15官報
資本金75.15億円 資本剰余金74.85億円 利益剰余金-28.19億円
売上143.87億円 営業損失9.6億円 経常損失12.01億円 当期純損失12.09億円

参考までに、バニラエアの決算も掲載しておきます。

■バニラ・エア(旧エアアジア・ジャパン)
第3期決算公告(2014年3月期) 2014.07.01官報
資本金75億円 資本剰余金75億円 利益剰余金-97.01億円
売上65.91億円 営業損失56.90億円 経常損失59.88億円 当期純損失60.05億円

※参考:昨年度決算
第2期決算公告(2013年3月期) 2013.07.01官報
資本金25億円 資本剰余金25億円 利益剰余金-36.96億円
売上34.67億円 営業損失33.89億円 経常損失36.36億円 当期純損失36.41億円

ジェットスター

売上高の差は詰まらず

数字を見ると、ジェットスター、ピーチいずれの会社も売り上げは倍増以上を達成しており、事業として成長軌道に乗っているのが見て取れます。ジェットスターは売上が126%増、ピーチは112%増です。両社の売上高の差は昨年度も今年度も約15億円で、金額では詰まっていませんが、割合でいえば10%の差が5%にまで詰まっています。

一方、ピーチは営業収益を約30億円も好転させたのに対し、ジェットスターは約17億円も悪化させました。採算という観点では、ピーチとジェットスターには大差がついてしまっているようにみえます。

とくに、ジェットスター・ジャパンの資本状況は楽観できるものではありません。同社の資本金は115億円、資本準備金も115億円ですが、利益剰余金はマイナス225.85億円、株主資本はわずか4.14億円にまで細っています。すでに何度が増資をしている同社ですが、直近の収支状況によっては、さらなる増資が必要になるかもしれません。

ジェットスターには挽回の兆し

ただ、ジェットスターは、来期はかなり挽回する可能性があります。ジェットスターの赤字の原因はいくつもありますが、とくに整備士不足で関西空港の第二拠点化に手間取り、余剰機材を抱え込んでしまったことが最大の原因とみられます。それはすでに解消しつつあるようです。

また、成田空港は不便で、それが同社の集客に影響を及ぼしていましたが、この2年ほどで、成田のアクセスは劇的に改善しました。東京駅から1,000円程度の格安バスの本数は激増し、京成電鉄もLCC利用者向けにダイヤを改善しています。こうした周辺環境の改善は、ジェットスターの利用者増につながるでしょう。

さらに、成田発着でライバルだったエアアジアとスカイマークが同空港の国内線から撤退し、後発のバニラエアや春秋航空の就航先が限られていることも、ジェットスターには追い風です。結果として成田発着ではジェットスターの独占路線が増えました。そのため、以前よりも高い値付けができるようになっています。たとえば成田~福岡間などは、時間帯の悪い便を除けば1万円程度が相場になっていて、以前のような5~6000円程度の設定は少なくなっています。

全体として、ジェットスターの価格はスカイマークに近づいていて、この価格水準で高い搭乗率を確保できれば、ジェットスターの来期の収支は劇的に改善する可能性があります。

ピーチは来期1割成長を目指す

一方のピーチは、国際線の収益が会社全体の利益に貢献しているようです。2015年3月期の決算については、2014年6月の時点で約1割の増収増益を見込んでいると公表しており、今期のような売上倍増は考えていない様子。急成長から安定成長への転換期にさしかかっているのかもしれません。

ジェットスターが関西空港を拠点化したことで、同空港発着の国内線の競争が激しくなり、ピーチの客単価は頭打ちになる恐れがあります。来年の両社の決算は、関西発着でジェットスターがどれだけピーチを追い上げるかもポイントになりそうです。

いずれにしろ、国内の2大LCCである両社が安定的に黒字化することが、日本でのLCC定着のカギとなるのは間違いありません。ピーチの安定と、ジェットスターの好転を願いたいところです。

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