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北近畿タンゴ鉄道が「ウィラー」に運行を委託へ。高速バス会社はローカル線をどう変える?

京都府の第三セクター鉄道・北近畿タンゴ鉄道(KTR)は、ウィラー・アライアンス社に運行を委託すると発表しました。ウィラー・アライアンスは高速バスで有名な「ウィラートラベル」の中核会社です。運行委託は2015年3月に開始される見通しです。

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第三セクターでも最大級の赤字会社

北近畿タンゴ鉄道は、京都府と兵庫県を走る鉄道会社で、宮福線(宮津~福知山30.4km)と、宮津線(西舞鶴~豊岡83.6km)を保有しています。かつての国鉄の赤字ローカル線(特定地方交通線)を引き継いで発足しましたが、年々利用者が減り、2012年度には過去最大の8億4150万円の赤字を計上しました。日本の第三セクター鉄道のなかでも最大級の赤字会社です。

経営改善へ向けて、北近畿タンゴ鉄道は、運行と施設保有の「上下分離方式」へ移行することを決めており、2013年11月から2014年1月にかけて運行委託会社を公募していました。これに4社が応募し、最終的にウィラーが「最適提案事業者」に選ばれたということです。

北近畿タンゴ鉄道

ウィラーの提案内容は、おもに利便性の向上と安全性の向上の2つがポイントです。まず、北近畿タンゴ鉄道は保有する34両がすべてディーゼル車ですが、これを電化区間(福知山~宮津~天橋立)で電車の新車両を投入します。これにより運行時間を短縮し、同時に分かりやすいダイヤを設定して利便性を向上させます。

また、高速バスを関西空港から天橋立などの沿線主要エリアまで走らせ、外国人観光客の集客をめざすなど、他の公共交通機関との連携も深めます。さらに、観光車両の活用や、丹後地域での体験型観光とも連携させるアイデアもあります。こうした方策で旅客を増やし、収支の改善を図るとのことです。

安全面では、機械工学や車両制御、心理学の専門家らによる「安全評価外部委員会」を新たに設け、安全管理や人材育成に助言を求めるとのこと。さらに、全車両の運転席にドライブレコーダーを設置し、異常事象を日常的に分析するとも提案しています。

北近畿タンゴ鉄道の上田清和社長は記者会見で、「安全運行を確保するための体制強化が確認でき、利用促進、経営改善、地域貢献に積極的な取り組みが数多く示され、優れた提案内容と評価しました」と選定理由を説明。同時に、「ウィラーの情報発信力も高く評価しました。数年以内での黒字化を目指すと聞いています」と、ウィラーの営業力にも期待感を示しています。

ウィラーが鉄道事業者に

今後、両社と沿線自治体が協議、調整して、ウィラーの鉄道事業者の免許取得に向けた手続きなどが進められ、運行事業委託の契約が交わされます。正式に運行が決まれば、ウィラーは施設使用料として年1億2400万円を北近畿タンゴ鉄道に支払います。北近畿タンゴ鉄道は、施設の維持管理を担います。一方で、沿線自治体は北近畿タンゴ鉄道への支援を継続し、今後10年間で合計約77億円の補助を行います。

税金の投入が続くのですから、ウィラーの運行受託で北近畿タンゴ鉄道が完全に「独り立ち」できるという話ではありません。自治体が第三セクターを通じて「下」にあたる線路を整備し、「上」にあたる運行部分を民間企業によって黒字化しよう、というモデルです。これにより、際限ない税金投入を防ぐことができるということなのでしょう。

ウィラートラベルは、ツアーバスの規制緩和時に急成長し、高速バスの大手の位置を占めるまでになりました。現在は全国23路線で毎日210便を運行し、年間約200万人が利用しているそうです。ツアーバス時代には、運行システムなどで批判されることも多かったですが、鉄道系のバス会社では考えられないような新車両や新サービスを多数生み出してきたのも事実です。そうしたウィラーならではの創意工夫が、鉄道ローカル線をどう変えるのか、期待したいところです。

ということで、高速バスの「ウィラー」がついに鉄道事業者になり、鉄道業に進出するわけです。余談ですが、これでウィラーも「ツアーバス系」から「鉄道系」のバス会社になるのでしょうか。

秘境駅の歩き方

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