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JR「新球場の輸送計画」が少し見えた。新駅か、北広島駅増強か

快速列車を毎時2-3本運転

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プロ野球北海道日本ハムファイターズが北広島市で計画している新球場について、JR北海道の観客輸送策として、新駅案と北広島駅増強案が検討されています。報じられた内容から、JR北海道の観客輸送の計画内容が、少し見えてきました。

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新駅は「引き込み線方式」

日本ハムの新球場は、「きたひろしま総合運動公園」に建設されます。ホテルや商業施設も備えた「ボールパーク(BP)」とする構想で、開業予定は2023年。新駅を作る場合、JR千歳線北広島駅から約1.5kmの位置に建設されます。

新駅はJR千歳線から分岐する「引き込み線方式」で検討されているようです。北海道新聞2018年4月27日付によりますと、「千歳線本線からの引き込み線方式とし、駅はBP敷地内に造って始終点とする」としています。また、「引き込み線には立体交差を造る」構想で、千歳線下り線との平面交差を避け、ダイヤ上の制約を軽減します。

北広島新駅
画像:北広島市

1時間5,000人の輸送力

この記事だけですと、新駅は頭端式の行き止まりが連想され、千歳線本線にホームが設けられるかが不明でした。これについて、日本経済新聞2018年4月28日付は「新駅を始発として札幌方面に接続する臨時列車を追加で運行させる」としたうえで、「札幌方面に帰る場合、普通列車と合わせ1時間あたり平均5千人程度を輸送できる」と報じました。

日経の記事から察するに、新駅に発着するのは快速列車で、既存の普通列車とあわせた輸送力が5,000人ということのようです。だとすれば、新駅には引き込み線のほか、本線上にもホームが設けられる可能性が高そうです。

本線上に新駅ホームがなければ、プロ野球開催時だけの臨時駅になってしまいます。さすがにそれでは費用対効果が悪いので、やはり本線ホームも設置されるのでしょう。本線では快速「エアポート」は通過とし、観客輸送と空港輸送を分離する計画なのかもしれません。

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毎時2、3本の臨時快速か

さて、千歳線の新型車両733系6両の定員は821人です。1時間で5,000人を輸送できるということは、毎時6本分の列車に相当します。

臨時快速と既存の普通列車とあわせた輸送量を5,000人とするならば、臨時快速は毎時2-3本程度の設定と推察されます。

また、日経は「北広島駅と利用客を分散させれば、合わせて約8千人に対応可能」ともしており、新駅とは別に、北広島駅で毎時3,000人の輸送力を勘定に入れています。

北広島駅には快速「エアポート」が停車し、2023年には毎時5本が運行されている予定です。とすれば、1本あたり600人を快速「エアポート」に負担させることを考えていることになります。

新駅ができれば北広島駅を使う観客は少ないと思いますが、日本シリーズなど超満員の日には、こうした対応を想定しているのでしょうか。

北広島増強はホーム増設

一方、新駅を作らず、北広島駅の増強で対応する場合は、「本線両側の空いている土地に新ホーム2面の整備を検討。現在のホームと合わせ、4面となる」(道新)としています。現在の北広島駅は島式2面4線ですが、4面4線になるということです。

また、日経は「北広島駅を増強する案はホームを新たに増やしたり、延長したりして常に600人強の乗客がホームに待機できるようにする」としています。これらの記事を読む限り、北広島駅では線増はせず、ホームだけの増加を検討しているようです。

日経は、北広島増強案として、「快速列車の輸送本数を増やすことで、平日で1時間あたり平均6千人の輸送能力を見込む」としています。1時間6,000人となれば、6両編成で7本分の輸送力です。

既存列車の輸送力のうち、空港客など一般客割り当て分を除いた「余力」に、臨時列車を加える形になるでしょう。となると、やはり毎時2-3本程度の臨時快速列車の運転を想定しているとみられます。

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1万人輸送は達成できる

新聞記事だけでは詳細はわかりませんし、まだ確定している内容もなさそうです。ただ、これらの記事から読み解く限り、JR北海道は観客輸送で毎時2-3本の快速列車の運転を想定していることが察せられます。

観客輸送に2時間かけるとすれば、試合開催日には4-6往復の臨時快速が運転されることになりそうです。運転本数は、その日の球場の混雑予想などから決定されるのでしょう。

片道6本となれば、定員乗車で約5,000人の輸送力です。乗車率150%まで許容すれば7,500人で、定期列車とあわせれば、球場観戦客1万人の輸送は十分達成できそうです。

ただ、球場の定員は約3万人です。残る2万人については、他の交通機関に頼らなければならないことになります。

車両をどこに置いておくか

千歳線のダイヤが過密とはいっても、2時間で最大6本くらいの臨時列車を線路に走らせることは、おそらく可能なのでしょう。しかし、時刻の一定しない試合終了時に、臨時列車をどこに待機させておくか、という問題は残ります。

引き込み線新駅の場合は、2本の列車を駅に待機させ、試合終了に合わせて運転させることができます。混雑のピークにあわせた柔軟なダイヤ設定が可能で、理想の形でしょう。

北広島駅増強案の場合は、どうするのでしょうか。道新は「将来はBP向けに北広島駅を始発、終点とする列車の運行が視野に入るとみられる」と報じていますが、詳細はわかりません。

北広島駅を始発着とする列車を設けるには、臨時列車を停めておく場所が必要ですが、北広島駅は快速と普通の接続駅(待避駅)となっていて、4線すべてが常に使われます。したがって、試合終了まで列車を待たせておくことはできません。となると、島松駅以南に留置しておくことになります。

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100億円をどう負担するのか

JRの新球場の輸送計画は少し見えましたが、乗客の利便性からみても、JRの使い勝手としても、新駅を作ったほうが良さそうなのは間違いありません。しかし、立体交差で専用ホームに入り込むため、100億円規模の建設費がかかります。

立体交差なんて大がかりなことをしなくても、という気もしますが、JRとしては、千歳線には札幌貨物ターミナル駅付近で平面交差があるので、さらに増やすのを避けたいのでしょう。あるいは、線形の問題で、本線上に並行して線増する形の新駅に、難があるのかもしれません。

ボールパークを北広島駅に建設すると決めた時点で、今回報じられた程度の内容は、すでに日ハムサイドに伝えられていたと思われます。その上での決定ですから、おそらく新駅は作られる方向なのでしょう。それでも100億円は巨額で、どういう負担割合になるのかは気になります。(鎌倉淳)


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