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鎌倉市でロードプライシングを導入か。車両進入制限エリアは「大仏から十二所」で、湘南道路は含まれず

鎌倉市での、ロードプライシング導入に現実味が出てきました。地元での新聞報道が相次ぎ、金額や設定地域なども具体化しつつあるようです。

鎌倉市のロードプライシング導入構想は、古くからあります。行政の俎上にのぼったのは1995年に発足した市長の私的諮問機関「鎌倉地域交通計画研究会」が最初のようで、2012年には正式な諮問機関として「交通計画検討委員会」が設置。導入に向けた議論が進められてきました。

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大仏から十二所までがエリア

現時点で鎌倉市から公式な発表はありませんが、鎌倉市交通計画検討委員会の資料を見ると、検討されている内容がわかります。それによりますと、ロードプライシングの設定エリアはいわゆる旧鎌倉地域で、鶴ヶ岡八幡宮以南、大仏、由比ヶ浜以東の市街地です。おおざっぱにいうと、「大仏・長谷寺から十二所まで」で、「北鎌倉は含まれない」エリアです。

鎌倉ロードプライシングエリア
鎌倉市交通計画検討委員会の第11回資料より。赤い線がゲート。

この場合、課金をするゲートは9カ所程度になります。具体的には、滑川交差点北、長谷駅付近、長谷トンネル、大仏トンネル、建長寺~鶴ヶ岡八幡宮間、明石橋交差点西、名越トンネル、飯島トンネルです。湘南道路(134号線)は全線がエリアに入らないように除外されています。

この旧鎌倉エリアに入るには、1000円程度の課金をする、というのが現在の構想のようです。そして、由比ヶ浜、深沢、朝比奈の3カ所に大規模な駐車場を作り、そこからシャトルバスを運行することで、「パーク&ライド」を実現する、という計画です。

この構想については賛否両論あり、とくに地元の商工業者の反対が強いとも聞きます。しかし、鎌倉市内の渋滞はたしかにひどく、改善の必要があることに関しては、多くの市民や観光客が理解しているのも事実でしょう。

また、2013年の世界遺産文化遺産登録で、「武家の古都・鎌倉」がユネスコの諮問機関から「不登録」の評価を受けたことも記憶に新しいです。「武家の古都・鎌倉」は「歴史的な重要性は十分説明されている」とされましたが、社寺中心で遺跡が少なく、都市化が進んでいることも影響して「不登録」となりました。渋滞のひどさも不登録の一因になったようです。

鎌倉市は、これまでも全く手を打ってこなかったわけではありません。市周辺部に駐車する「パークアンドライド」や、バスや電車を自由に乗り降りできる「環境手形」の導入などが、すでに行われています。しかし、いずれも市街地の渋滞を解消できるほどの特効薬ではありませんでした。こうした経緯から、今回のロードプライシング導入はかなり実現性が高いように思われます。新聞・テレビでは、2020年の東京オリンピックまでに本格実施、とも報じられています。

とはいえ、ロードプライシングで渋滞が解消するかどうかはわかりません。そもそも、クルマで遠方からやって来た観光客が、1000円程度の課金で市内進入を止めるのか、というのは大きな疑問です。多くの観光客は、「入場料が1000円になった」という程度の感覚で、お金を支払って市内に入ってくるのではないでしょうか。そうなると、市内流入のクルマは減らず、公共交通機関であるバスの定時性も確保できず、パーク&ライドも機能しなくなります。結局、渋滞は今のままで、1000円×台数分の税収増で終わってしまうでしょう。

もちろん、税収増は悪いことではありません。もともと鎌倉は市内に宿泊施設が少なく、日帰り観光が主流のため、観光客数のわりに市内にお金が落ちない、という問題点がありました。観光客にきちんとお金を落としてもらうために1000円を徴収するのなら、それは一つの考え方でしょう。

しかし、本気で渋滞を解消させるなら、1台1000円は安すぎます。適正価格がいくらなのかはわかりませんが、間違いなく渋滞を解消するには、1万円くらいの価格設定にする必要があるかもしれません。それだけの価格になれば、郊外のパーク&ライドを利用する観光客も増えるでしょうし、そうなればシャトルバスも機能すると思われます。

一方で、1万円も課金したら観光客自体が減少する、という副作用も当然予想されます。それを心配する地元の観光業者が反対するのも間違いないでしょう。

最終的にどういう案に落ち着くのかは、まだわかりません。旅行者の立場としては、のんびり歩いて散策できるような、静かな鎌倉であってほしいものです。そのために、観光客も、なるべく鎌倉へは電車で行きましょう。

ロード・プライシング―理論と政策― (日本交通政策研究会研究双書23)

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