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JR北海道が2016年度の輸送密度を公表。道南と札幌圏は堅調、根室線帯広~釧路間は2000を割る

JR北海道が2016年度の区間別輸送密度を発表しました。2016年は、北海道新幹線開業の影響などで道南エリアや札幌圏で前年比増の区間が目立ちました。一方で、8月の台風被害の影響もあり、道東や道北の多くの区間で前年度割れとなっています。

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2つの数値を公表

JR北海道は2016年度の区間別輸送密度を、2つの数値で公表しました。2016年度全期間と、2016年度のうち、9~12月の4ヶ月間を除外して集計した数値です。

2016年8月の台風被害で長期不通となった区間が発生し、不通期間の輸送実績が落ち込んだことから、不通期間を除外した統計もあわせて公表したわけです。

下表が、9~12月区間を除外したJR北海道の輸送密度地図です。

JR北海道2016年輸送密度

画像:JR北海道

2016年度の区間別輸送密度は以下の通りです。( )内は9~12月を除外した期間の数字です。

JR北海道2016年度輸送密度
路線名 区間 輸送密度(人/キロ/日) 対前年比(%)
札沼線 医療大学~新十津川 66 (64) 83.5 (81.0)
石勝線 新夕張~夕張 83 (80) 70.3 (67.8)
根室線* 富良野~新得* 106* -
留萌線 深川~留萌 228 (188) 124.6 (102.7)
留萌線** 留萌~増毛** 269 (134)** 401.5 (200.0)*
宗谷線 名寄~稚内 362 (364) 89.8 (90.3)
根室線 滝川~富良野 384 (432) 78.7 (88.5)
釧網線 東釧路~網走 432 (463) 84.2 (90.3)
根室線 釧路~根室 435 (457) 96.9 (101.8)
日高線*** 苫小牧~鵡川*** 463 (462)*** --
室蘭線 沼ノ端~岩見沢 484 (477) 96.8 (94.3)
函館線 長万部~小樽 646 (652) 93.6 (94.5)
石北線 上川~網走 880 (913) 82.9 (86.1)
石北線 新旭川~上川 1,229 (1,262) 83.0 (85.2)
宗谷線 旭川~名寄 1,477 (1,456) 94.0 (92.7)
富良野線 富良野~旭川 1,487 (1,545) 100.7 (104.6)
根室線 帯広~釧路 1,728 (2,073) 76.3 (91.5)
石勝・根室線 南千歳~帯広 3,204 (4,085) 76.1 (97.0)
函館線 函館~長万部 4,134 (4,265) 108.8 (112.3)
室蘭線 長万部~東室蘭 5,279 (5,424) 103.4 (106.2)
北海道新幹線 新青森~新函館北斗 5,638 (5,971) 152.1 (161.1)****
室蘭線 室蘭~苫小牧 7,067 (7,161) 97.2 (98.5)
函館線 岩見沢~旭川 8,912 (8,922) 93.4 (93.5)
札沼線 桑園~医療大学 17,643 (17,590) 101.6 (102.7)
千歳線 南千歳~新千歳空港 32,001 (31,507) 104.3 (102.7)
函館線 札幌~岩見沢 43,464 (43,408) 98.8 (98.7)
千歳線 白石~苫小牧 45,337 (45,599) 100.0 (100.6)
函館線 小樽~札幌 46,060 (46,417) 102.4 (103.2)

*根室線(富良野~新得)は、 2016年8月の豪雨により運休中のため、4~8月の実績で算出。
**留萌線(留萌~増毛)は、2016年12月5日廃止。数値は廃止までの実績。
***日高線は、苫小牧~鵡川を今年度より算出。鵡川~様似は、 2015年1月から運休中のため、表から除外。
****北海道新幹線(新青森~新函館北斗)は、海峡線(木古内~中小国)との前年比較。

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帯広~釧路が「単独では維持困難」水準に

「不通期間」により、輸送密度に大きな影響を受けたのは、石北線と石勝・根室線です。石北線特急は8月23日から9月30日まで、石勝・根室線特急は12月22日まで運休となりました。

これらの区間は通年でも前年比で大幅減となっており、不通が復旧した後も、旅客数が十分に回復していないことうかがえます。飛行機やバスに転移した利用者が鉄道に戻ってきていないのかもしれません。

根室線の帯広~釧路は、通年で輸送密度2,000を割り込みました。「輸送密度2,000」は、国鉄時代に第一次特定地方交通線の廃止基準とされた数字ですし、JR北海道は輸送密度2,000人キロ以下の区間を「単独では維持困難」としています。そうした大きな区切りを割り込んでしまったわけです。

台風被害の影響があった今期の数字を基に議論されることはないと思いますが、今後も利用者が戻らなかった場合、将来的には維持の議論に影を落とすかもしれません。

留萌線には廃線特需

一方、大幅増を達成したのは留萌線です。廃止となった留萌~増毛は前年度比4倍増、深川~留萌間も2割増を達成し、輸送密度200を超えました。いうまでもなく、廃線区間の「さよなら乗車」の影響でしょう。廃線前の動員力の強さを、まざまざと見せつけられた印象です。

輸送密度200は、JR北海道が「バス転換協議」の基準としている数字です。「廃線特需」が失われた今期も200超えできれば、留萌線の存続協議にも好影響が出るでしょう。

明るい材料もある

明るい材料は北海道新幹線開業です。新幹線が新函館北斗まで来たことで、道南エリアの函館・室蘭線の輸送密度を底上げする好影響を及ぼしています。北海道新幹線の輸送密度は、現時点で5,000台ですが、札幌開業を控えて伸びしろは十分あります。

JR北海道全体では、輸送密度が5,177となり、前年比101.6%と健闘しました。北海道新幹線開業にくわえ、札幌圏の輸送密度が改善したためです。札幌圏では千歳線の南千歳~新千歳空港間が対前年比で104.3%で最大の伸び幅となりました。インバウンド増のおかげと思われます。

北海道新幹線とインバウンドが、JR北海道の明るい材料であることは間違いありません。今後はこの2本柱をいかに育て、全道のローカル路線にも好影響の輪を広げていくかが重要となりそうです。(鎌倉淳)

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