JR北海道の島田社長が根室線東鹿越~新得間の復旧を明言せず。札沼北線も廃止打診か

JR北海道の島田修社長は、2016年8月の台風10号で被災したJR石勝・根室線のうち、トマム~芽室間を年内にも復旧させる見通しを示しました。一方、根室線の東鹿越~新得間に関して、復旧工事に着手できるのは早くても2017年春以降とし、復旧見通しを示しませんでした。

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特急運転区間はすべて復旧へ

JR北海道は、2016年10月13日の島田社長の記者会見において、石勝・根室線のトマム~新得~芽室間を2016年内に復旧させる方針を明らかにしました。復旧に伴い、特急「スーパーおおぞら」と「スーパーとかち」の運行も再開します。

同区間が開通すれば、一連の台風被害で被災した特急運転区間が全て復旧することになり、まずは喜ばしいことでしょう。

残る不通区間の根室線富良野~新得間のうち、富良野~東鹿越間については、一足早く10月17日から運転再開することが発表されました。

根室線
写真:JR北海道

「早くても来春以降」の意味

残るのは、根室線の東鹿越~新得間41.5kmです。この区間について、JR北海道は、「被災状況が甚大であり、同区間の工事着手については早くとも来春以降」としました。

「早くても来春以降」とは微妙な表現で、鉄路復旧に前向きな印象も受けます。日本経済新聞2016年10月14日付によりますと、「鉄路での復旧を前提としているのか」という記者からの質問に対し、島田社長は「費用が見積もられていないことも含め、どうあるべきかを判断しなければならない」と述べたとのことで、鉄路による復旧について明言を避けました。

JR北海道によりますと、東鹿越~新得間を除く一連の台風被害の復旧費用は約40億円となる見通しだそうです。復旧費用のうち、5割を国や道が補填してくれる災害復旧事業費補助金を活用するほか、民間の損害保険も申請して、負担を軽減する方針とのこと。

ただ、残る東鹿越~新得間の費用が、まだ見積もられていないのが気がかりです。

札沼北線はバス転換を打診

一方、北海道新聞2016年10月9日付は、札沼北線(北海道医療大学~新十津川)沿線の新十津川、浦臼両町に対し、JR北海道が路線廃止を前提にバス転換を打診していると報じています。

具体的な転換対象区間は示していないとのことですが、現在1日1往復しか運転していない浦臼~新十津川間が対象なのは確実で、医療大学~浦臼間も含まれる可能性があります。

JR北海道は輸送密度500人キロ未満の線区について、「単独で維持することが困難な線区」と分類しているとみられ、札沼北線も根室線の富良野~東鹿越~新得間もこれに該当します。沿線住民のことを思えば被災路線の早期復旧を願いたいですが、予断を許さない状況のようです。(鎌倉淳)

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