旅行総合研究所タビリス

旅行総合研究所タビリスは、日本と世界を旅する人のための観光情報サイトです

LCC 航空会社

ジェットスターが営業4期目でついに黒字化を達成。LCC3社の経営は、なぜ軌道に乗ったのか?

ジェットスター・ジャパンが2016年6月期決算で通期の黒字を発表しました。これで、ピーチアビエーション、バニラエアともに、国内主要LCC3社が揃って黒字化を達成したことになります。

国土交通省の統計では、LCCの国内線旅客数シェアは10%程度に達しており、いまや航空旅行者10人に1人がLCCを利用しています。LCC3社の経営は、なぜ軌道に乗ってきたのでしょうか。

広告

6300万円の最終利益

ジェットスタージャパンの2016年6月期決算は、営業収入が522億円で前年比24%増、営業利益が13億円、経常利益が1億5000万円、最終利益が6300万円となりました。ジェットスターの営業黒字は、2012年7月の運行開始以来初めてのことです。

ジェットスターは営業初年度となる2013年6月期決算で90億円の営業損失を計上。2014年6月期は最悪となる107億円の営業赤字を出し、2015年6月期も79億円の赤字となりました。

2015年決算で累積赤字は301億円に到達。これを埋めるため、親会社であるJALと豪カンタス航空が増資を繰り返してきました。

ただ、2015年決算では、売上高が伸びて赤字額が減っていたので、業績が軌道に乗り始めている気配も見えていました。そこから1年で、一気に黒字転換を成し遂げたわけです。

ジェットスタージャパン

ピーチ、バニラはすでに黒字

国内LCC他社では、2012年3月に運航を始めたピーチ・アビエーションが2013年度に黒字化。2012年8月就航のバニラ・エア(当時はエアアジア・ジャパン)も2015年度に単年黒字化を達成しています。ジェットスター・ジャパンが黒字化したことで、ピーチ・アビエーション、バニラエアをあわせた国内LCC3社が全て黒字となりました。

就航当初は各社とも見るからに悲惨な赤字垂れ流しだったことを考えれば、よくぞここまで、という印象はあります。

広告

国際線拡大で効率化

LCC各社が黒字化できた原因はいくつかありますが、一つには国際線を拡大したことがあげられます。LCCの生命線は効率的な機材運用ですが、日本では国内線の深夜便を飛ばすことがほとんどできませんから、夜間に海外へ飛ばすことが大切です。

ピーチがいちはやくそれに取り組み、ジェットスターも2015年2月の関空~香港を皮切りに台北やマニラ線を新設、夜間便を中心に路線に運航しています。今後は中国路線への展開を目指すとしており、上海や広州線の開設を視野に入れているようです。バニラエアも台北、高雄、香港へと路線を広げてきました。

燃油安も寄与

燃油安も業績改善に寄与しました。航空機燃料の市場価格は2012年8月に1バレル133ドルでしたが、足元は半値以下の57ドルになっています。

日本経済新聞2016年8月25日付によりますと、ジェットスターの鈴木明典最高財務責任者(CFO)は記者会見で、「具体的な金額は控えるが燃油は大きな改善要因」と認めています。燃油安は、LCCにとって神風ともいえる恩恵をもたらしました。

ただ、今後もこの燃油安が続くかどうかは不透明です。各社の収益源となってきた国際線でも、一部ではすでに供給過多になりすぎているとの指摘もあります。人気の台北線では価格競争が激化しており、運賃水準は2年前から2割程下落しているそうです。

国内線の客単価は低いまま

国内線にも懸念があります。国土交通省の資料によりますと、2015年度の国内線の輸送人員あたり旅客収入は、ジェットスターが8,000円、ピーチが7,300円、バニラエアが8,100円となっています。

2013年度はジェットスター6,400円、ピーチ6,700円、エアアジア・ジャパン8,300円でしたから、各社とも1~2割の客単価増を達成しています。

ただ、バーゲンを頻発していた2013年当時から2割しか改善していないのか、というのが率直な印象で、大手航空会社に比べても半分程度の水準にすぎません。

LCCが国内に就航した当時、ある航空関係者は「平均客単価は1万円程度が必要だろう」と話していました。現在は燃油安と効率化で採算が取れているのかもしれませんが、燃油が再び値が上がりしたときに心許ないでしょう。

広告

イールドも伸び悩む

航空会社が重視する輸送人キロあたり旅客収入(イールド)でも、ピーチが8.0円、ジェットスターが7.7円、バニラエアが7.0円で、大手の半分以下です。これで採算が取れるなら余計なお世話ですが、スカイマークですら11円程度の数字を残しているのをみると、やはり今後の不透明感はあります。

LCCのビジネスモデルとしてあげられる付帯収入については手元にデータがありませんが、最近は、各社とも機内持込荷物の計量を厳しくしており、手荷物運賃をしっかり取ろうという姿勢が出てきているようです。

予約時の手数料や、座席指定などのオプション料金も、就航当時に比べ少しずつ値上げされてきました。こうしたことは、今後も続くとみられます。

利用者にはありがたい

利用者の立場で見ると、国内線のLCC運賃は依然として低く、週末午前便などの一部を除けば、1万円程度で日本各地へ行けます。客単価やイールドが低いことは、利用者にとっては悪いことではなく、ありがたいとすらいえるでしょう。

一方で、機内持込手荷物の計量が厳しくなってきたので、荷物は小さくするか、事前にきちんと手荷物を計算して料金を支払っておくことが大事です。

オプション料金も小さくない金額になりましたので、座席指定などが必要かを見極めて予約することが大切です。(鎌倉淳)

広告

広告

-LCC, 航空会社

  あわせて読みたい