JAL成田-メルボルン線、成田-コナ線の時刻表。パリ線は運休で、海外旅行事情の「変化」を映す

JALが成田-メルボルン線と、成田-コナ線を2017年9月に開設します。メルボルンへは初就航、コナ線は2010年10月以来7年ぶりの再就航です。かわりに成田-パリ線を運休。テロ騒動で伸び悩む欧州線を縮小し、オセアニア・ハワイ路線を拡充します。  
 

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成田は午前発、メルボルン発は深夜便

JALの成田-メルボルン線は9月1日から、1日1往復を運航します。機材はボーイング787-8型機の新仕様機「スカイスイート」(SS8)を使用。ビジネス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー88席の計161席です。

スケジュールは、成田を時間帯のいい午前10時台に出発し、メルボルンに夜遅く到着します。復路はメルボルン発が深夜便で、成田に朝到着します。

JALの成田-シドニー線が、成田夜発、シドニー朝発なので、それと対をなすスケジュールとなっています。

成田-メルボルン線の時刻表は以下の通りです。

JAL成田-メルボルン線時刻表

JL773 成田10:30→メルボルン21:55 ※9月1日~
JL774 メルボルン00:05→成田09:05 ※9月2日~

JL773 成田10:30→メルボルン22:55 ※10月1日~
JL774 メルボルン00:35→成田08:35 ※10月2日~

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カンタス航空との2社運航に

成田-メルボルン線は、日本航空と豪カンタス航空が出資するジェットスター・ジャパンが2014年4月に路線開設しました。2016年12月にカンタス航空が同路線に進出すると、ジェットスターは2017年2月に撤退。今回のJALの就航により、成田-メルボルン線はカンタス航空との2社運航となります。

JALとカンタスは、同じ航空連合のワンワールド・アライアンスに属します。カンタスは成田夜発、メルボルン午前発で週6往復運航しており、今後は、アライアンスでほぼ1日に朝夜2往復体制となります。南オーストラリアへの旅行が便利になるでしょう。

つい3年前まで直行便がなかったメルボルン線が強化される背景として、南オーストラリアの経済成長があります。ビジネス需要が旺盛なうえに、スキー・スノボ客を初めとするオーストラリア人の訪日需要も根強いと判断されたのでしょう。

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コナ線もスカイスイート

JALの成田-コナ線は、2017年9月15日から1日1往復が直行便で開設されます。機材はこちらも新仕様機の767-300ER「スカイスイート」(SS6)です。ビジネス24席、エコノミー175席の計199席です。

成田-コナ線の時刻表は以下の通りです。

JAL成田-コナ線時刻表

JL770 成田21:25→コナ10:15 ※9月15日~
JL779 コナ12:15→成田16:00(+1)※09月15日~

JL770 成田21:25→コナ10:05 ※10月1日~
JL779 コナ12:05→成田16:00(+1) ※10月1日~

ANAのA380を迎撃

JALのハワイ路線は、現在ホノルル線のみです。成田から1日4往復、中部と関西からは1日1往復しています。羽田便もありましたが、発着枠をニューヨーク線に振り向けたため、2017年4月にホノルル線は運休となっています。

ホノルル線の減便などは発表されていないため、9月以降はこれらホノルル路線を継続したまま、コナ線が純増となるようです。

JALのコナ線は1996年にはじめて運航を開始しています。当時は、成田発がコナへ直行し、コナからはホノルルを経由して成田に戻るという「三角運航」でした。2010年10月に運休しており、今回は、初の往復直行便となります。

コナ線開設の背景としてあげられるのが、ANAのエアバスA380型機のホノルル路線投入でしょう。2019年春に予定されており、一気に毎日500席程度の供給増になるとみられます。現在のハワイ路線の供給座席数はJAL優位ですが、今後、ホノルル線の価格競争が激化するのを見据えて、価格維持が期待できるコナ線の進出に踏み切ったと見られます。

現在、日本からコナへの路線は、ハワイアン航空が羽田発着で週3往復を深夜便で運航しているのみです。JALとしては、成田接続により、東アジア各地からのコナ旅行の需要も狙っているようです。JALの参入により、今後はコナの観光開発も期待できそうで、日本人旅行者にも新しい旅の楽しみが見つけられるかもしれません。

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パリ線は羽田に集約

2路線の開設と入れ替わる形で、JALは成田-パリ線を2017年10月29日の冬ダイヤから運休します。JALは羽田-パリ線も1日1往復で運航しており、今後、パリ線は羽田発着に集約することになります。

パリ線縮小の背景として、ヨーロッパで頻発するテロの影響が挙げられます。ビジネス需要の強いロンドン線やフランクフルト線と異なり、パリ線は観光需要の大きな路線だけに、テロによる旅行手控えの影響を受けやすくなっています。

成田-パリ線は「成田縛り」という事情もあり、政治的に残されてきた側面もあります。すでにANAは2015年に成田-パリ線を運休し羽田に集約しており、JALはそれに追随したといえます。

ヨーロッパ路線を縮小し、オセアニアやハワイ路線を拡大するJALの新方針は、日本人の欧州旅行手控えと、オーストラリア人の訪日需要拡大、堅調なハワイ旅行など、日本を取り巻く最近の海外旅行環境の変化を映し出していると言えそうです。(鎌倉淳)

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