JALの特典航空券優先フライトは、マイラー殺到せず平穏な滑り出しか。11月、12月は1日3往復設定へ。

「普通席に空席がある限り特典航空券を利用できる」という特典航空券優先フライト。JALが今年4月から始めたサービスです。

特典航空券とは、貯めたマイルを使うためのチケット。要するに「無料航空券」です。この特典航空券、使いたい日は満席で、なかなか使うに使えない、というのが利用者の不満の種でした。なぜなら、航空会社は特典航空券で予約できる座席数を限定しているからです。そのため、JALの「空席がある限り全席OK」というのは、かなり思い切った施策として注目されました。

JALボーイング787
JALボーイング787(出典:JALホームページ)

これまで設定されたのは、東京~沖縄、東京~札幌の2路線。7月~9月は各2往復が設定され、これが10月も継続されます。11月~12月は各路線3往復になります。閑散期に入るので、マイル客を取り込む余裕ができるのでしょう。

では、4月以降、これらの便がマイルの客でいっぱいになったか、というと、必ずしもそうではない様子。いずれも東京発午後便で、沖縄発は午前便、札幌発はお昼便と最終便で、あまり使い勝手のいい時間帯のフライトではないからです。そもそも、搭乗率の悪いフライトを充てているから、少々マイルの客が乗っても、満席にならないのでしょう。「特典航空券優先フライト」制度は、マイラーが殺到するような事態にはならず、平穏な滑り出しだったといえそうです。

そして、これは重要なポイントです。つまり、これらの便が、結果的にあまり満席になっていない、というのは、「無料航空券の客ために有料の客が乗れなかった」という事態には至っていないことを示しています。となれば、経営に与える影響は小さいと考えられます。

マイレージに関しては、最近、航空各社で「改悪」が続いてきました。「マイルなんか、貯めてもどうせ使えない」という声は、筆者もよく耳にしています。こうした不満は、レガシーキャリア離れの原因にもなっている可能性もあります。ただ、マイレージ制度はレガシーキャリアの重要な営業ツールですし、「特典航空券優先フライト」による経営への打撃が少ないならば、この施策は今後広がっていくかもしれません。とくに、LCCと競合する路線では、一つの武器になるのではないでしょうか。

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