ホーム 新型車両 205系「いろは」が示す日...

205系「いろは」が示す日光線の変化。インバウンドは鉄道路線をここまで変える

ロングシートの通勤形車両が……

シェア

JR東日本は、日光線の普通列車用車両を、インバウンド観光客対応で改造します。愛称として「いろは」と名付けました。

広告

クロスシートを導入

JR東日本大宮支社によりますと、改造される車両は、日光線で運用されている205系のうち1編成。愛称名の「いろは」は、日光の名所の一つである「いろは坂」と「物事のいろは」を掛け合わせたそうです。

改造車両の車内レイアウトは、2列+1列のクロスシート。大型の荷物置き場やフリースペースを配置し、荷物の多い外国人旅行者が利用しやすくなっています。外国人旅行者から要望の多い、無料Wi-Fiも装備しました。

日光線「いろは」
日光線「いろは」

日光線「いろは」
画像:JR東日本

内装は木目調とし、座席の生地は茶系統の落ち着いた配色です。つり革は優先席付近を除き木材を使用。ドア上には案内表示器を新たに設置し、外国語表記に対応します。

車体外装は、日光線沿線の魅力をデザインに取り入れるとともに、日光線のイメージである「レトロ」を意識。華厳の滝や男体山、中禅寺湖といった日光線沿線の観光地や、龍、鳳凰、唐獅子といった東照宮をモチーフとしたイラストを側面に配置します。外国人観光客を意識した、ジャポネスク風かつモダンなデザインです。

日光線「いろは」
画像:JR東日本

通勤・通学路線だったが

日光線には、かつて急行列車が走っていて、観光路線の役割を担っていた時代もありました。しかし、東武鉄道との競争に敗れ、1982年に上野直通の優等列車を廃止。以後は宇都宮近郊の通勤・通学路線の性格が強くなっていました。

ところが、近年のインバウンド需要の高まりとともに、外国人観光客の利用が急増。ジャパンレールパスの利用者はJRを使う人が多いため、東武特急ではなく新幹線+日光線で日光を訪問する人が増えたのです。

とはいえ、これまでの日光線205系は通勤・通学重視のロングシート仕様で、外国人観光客には不評でした。今回の「いろは」の投入は、そうした利用者の変化に対応するものといえそうです。

広告

30年前の輸送密度を維持

インバウンドの波に乗り、日光線の利用者は増加傾向です。2016年度の輸送密度は「5,541」で、2012年度の「5,196」より6%増えています。JR発足の1987年度に「5,688」でしたから、30年前とほぼ同じ輸送量を維持していることになります。

比較として、東北本線の宇都宮~黒磯間は、1987年度の「19,594」から2016年度に「15,284」まで減っています。比べれば日光線の観光客需要の強さが察せられるでしょう。

「いろは」の装備やデザインを見ると、ロングシートの通勤形車両の205系が、ここまで変わるのか、との驚きを禁じ得ませんが、それは日光線の利用者の変化に即したものといえるのでしょう。

インバウンドが、鉄道路線の性格付けまで変えてしまう。そうした象徴が、「いろは」なのかもしれません。

運行開始は、2018年4月1日。栃木デスティネーションキャンペーンにあわせて投入されます。日光線の定期列車として運行されますが、繁忙期などは栃木県内を中心とした路線で臨時列車として走る場合もあるそうです。(鎌倉淳)


関連記事