「都会のローカル線」東急池上線が活性化さぐる。無料乗車券も配布へ

大規模商業開発とは別の手法で

東京急行電鉄は、池上線の活性化プロジェクトを始めると発表しました。全15駅ごとに「生活名所」を選んだほか、2017年10月9日に無料で1日乗車券を配布します。

広告

10月9日は池上線乗り放題

東急池上線は、五反田~蒲田間10.9kmを結びます。都心部への地下鉄直通運転を実施しておらず、東急線のなかでは比較的利用者の少ない路線です。現在も3両編成の電車がトコトコ走る、ちょっとした都会のローカル線です。

池上線が最初に開業したのは池上~蒲田間で、1922年のこと。その後、1927年8月28日に戸越銀座~雪が谷大塚駅間、10月9日に大崎広小路~戸越銀座駅間が開業し、ほぼ全線が開業しました。残る五反田~大崎広小路駅間は、1928年6月17日に開業しています。

東急電鉄では、大崎広小路~戸越銀座駅間が開通して90年目となる、2017年10月9日に、池上線全線の「無料乗車」を実施します。改札付近で「東急池上線1日フリー乗車券」を1人につき1枚配布し、このきっぷを使うと、10月9日に限り、池上線全線を自由に乗り降りできます。

無料乗車日となる10月9日には、池上線の沿線各地で90周年イベントが実施されます。「フリー乗車券」はその周遊の利便を図るため。東急によると、「1日無料」は首都圏の鉄道会社では初めての取り組みだそうです。

東急池上線

「生活名所」を選出

東急は同時に、新しいまちづくりプロジェクトとして、池上線沿線住民や、品川区、大田区らとともに、沿線の「生活名所」を選出。全15駅ごとに、沿線の魅力的な場所を紹介します。

生活名所の候補として選ばれたのは、戸越銀座駅の「焼鳥エビス」や雪が谷大塚駅の「雪が谷検車区」、蓮沼駅のセレクトショップ「鈴木商店」、蒲田駅の「ユザワヤ」など。生活名所は、今後も増やしていくそうです。

これらを巡る周遊ツアーも実施する予定で、「1駅1皿で巡る レストラン池上線」や「大人の自由研究 アートな池上線」「鉄ちゃん集まれ ディープ池上線潜入」などのコースが設定されています。

いわば、いまあるものを使って「沿線活性化」を目指すわけです。大型商業施設などによる再開発に頼らない手法は、田園都市線などとは違う方向性といえるでしょう。東横・目黒線の隣をひっそり走る「都会のローカル線」は、プロジェクトで新しい魅力を見いだせるのでしょか。(鎌倉淳)

広告
前の記事京都国立博物館「国宝展」のラインナップがすごい。「国宝新幹線」も運転!
次の記事「紙の割引きっぷ」が減っていく。JR西日本が「昼特きっぷ」廃止