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「豊予海峡新幹線」で大分~松山が36分に。整備新幹線への格上げ狙う

単線新幹線の海底トンネル

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九州と四国を隔てる豊予海峡に新幹線トンネルを掘れば、大分~松山は36分で結ばれ、採算性も確保できる。大分市がそんな調査結果を公表しました。新幹線の基本計画路線から整備計画路線への格上げを狙います。

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道路よりも新幹線

大分市は、大分県の佐賀関と愛媛県の佐田岬の間に、鉄道または道路を建設する「豊予海峡ルート」について調査を行っています。2016年の一次調査では、鉄道、道路、鉄道道路供用の3パターンで、架橋とトンネルの事業費や整備効果などを比較しました。

その結果、海底トンネル建設事業費が安く、費用便益分析からは道路よりも新幹線の効果が高いことがわかりました。この結果を受けて、大分市では、もっとも事業費が低いと試算された単線の新幹線を建設する案に絞り、二次調査として、ルートや中間駅、運行ダイヤのモデルなどを改めて調査しました。

豊予海峡トンネル
資料:大分市

豊予海峡トンネル
資料:大分市

初年度から営業黒字

二次調査結果によりますと、大分~松山間146kmについて、中間駅を大分市佐賀関付近、愛媛県伊方町付近、同大洲市または八幡浜市付近に置くと仮定。最短で大分~松山間を36分、各駅停車の場合で52分で結べるとしています。

年間の営業費用は141億円と試算。黒字化には1日あたり約6,800人の利用が必要としていますが、一次調査では、1日の利用者数を約18,000人と見込んでおり、初年度からの黒字化が可能との結論を示しました。

建設事業費は6,860億円と試算し、費用便益は1.19~3.30と推測。1を超えていますので、整備費用を上回る効果が見込めるとしています。

四国新幹線や東九州新幹線とつなぐ

松山~大分間は、全国新幹線整備計画では四国新幹線の一部となります。

現実に豊予海峡に新幹線を建設するならば、岡山方面からの四国新幹線や、小倉方面からの東九州新幹線とセットになるでしょう。四国新幹線と東九州新幹線をつなぐのが豊予海峡ルートですので、新幹線の建設順位としては、岡山~松山間や、小倉~大分間の後になると思います。

1日18,000人という需要予測の中身を見ると、「誘発需要」(約7,600人)や「ルート変更」(約6,400人)を含んでおり、予想数値が大きすぎるという批判もありそうです。ただ、これまで流動の少なかった松山~博多間などの需要を掘り起こせるのは間違いありませんし、あながち過大すぎるというわけでもなさそうです。

単線新幹線という考え方

この構想では、「単線新幹線」という考え方を採用しています。これまでの新幹線はすべて複線で、具体化している今後の建設計画でも単線はありません。

ただ、これから基本計画路線を整備計画路線に格上げして新幹線網を広げていくならば、複線規格が過剰な区間があり、単線を活用していく必要は出てくるでしょう。

その意味で、地元自治体自らが「単線で事足りる」という姿勢を明確にして構想を練り、「それでも新幹線に価値がある」としている点は、意味があるのかもしれません。(鎌倉淳)


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