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「鉄道がないと地域が衰える」は本当か。北海道の「お金持ち」市町村は、廃線エリアに多い

毎日新聞が面白い調査をしています。総務省が公表している「市町村税課税状況等の調」に基づいて2013年の課税対象所得総額を納税者数で割り、全国の市区町村ごとに住民1人当たりの年間平均所得を割り出したのです。ようするに、住民が「お金持ち」な市町村のランキングです。

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猿払村は全国5位

細かい数字は毎日新聞をご覧いただきたいのですが、北海道の調査結果を一部引用してみます。北海道内自治体別の1人当たり年間平均所得のランキング上位20市町村は以下の通りです。

道内順位 自治体名 平均所得(千円)
1  猿払村  6265 
2  安平町  3994 
3  興部町  3965 
4  湧別町  3672 
5  枝幸町  3666 
6  雄武町  3637 
7  足寄町  3582 
8  斜里町  3410 
9  佐呂間町 3279 
10  標津町  3209 
11  神恵内村 3184 
12  別海町  3161 
13  羅臼町  3131 
14  浜頓別町 3128 
15  士幌町  3119 
16  更別村  3087 
17  礼文町  3062 
18  札幌市  3022 
18  鹿追町  3022 
20  網走市  3018 
(出典:毎日新聞4月17付)

1位はぶっちぎりで猿払村。全国でも5位で、東京・港区、千代田区、渋谷区、芦屋市に次ぐ存在です。目黒区や中央区を上回り、全国屈指の「豊かな人々が住む自治体」ということになります。北海道の果ての果ての村がなぜ? と疑問に思いますが、毎日新聞によると、「村民の10人に1人が漁師で、好調なホタテ漁が平均所得を押し上げた」ということです。

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特定地方交通線エリアが上位に

北海道の上位20自治体を見てみると、鉄道が通っているのは2位安平町(石勝線・室蘭線)、8位斜里町(釧網線)、10位標津町(同)、18位札幌市(各線)、20位網走市(石北線・釧網線)だけです。鉄道がある自治体が5、ない自治体が15です。

なかでも、天北線や名寄線、興浜南北線、湧網線など、国鉄末期に特定地方交通線が大量に廃止されたオホーツク沿岸エリアの市町村が豊かなのが目を引きます。一方で、鉄道が残されている宗谷線沿線の豊富町(98位)や音威子府村(47位)、名寄市(75位)、石北線沿線の北見市(74位)、遠軽町(94位)などは上位に入りませんでした。

「鉄道がないと地域が衰える」という考え方がありますが、この数字を見ると、あまり関係なさそうです。

北見枝幸駅興浜北線北見枝幸駅(現在は廃止)

下位も特定地方交通線エリアが

では、所得の少ない市町村はどうでしょうか。北海道で所得の少ない20自治体を見てみましょう。

道内順位 自治体名 平均所得(千円)
1  上砂川町 2000
2  歌志内市 2128
3  夕張市  2137
4  三笠市  2206
5  喜茂別町 2210
6  古平町  2248
7  芦別市  2260
8  赤平市  2267
9  壮瞥町  2331
10  上川町  2332
11  白老町  2351
12  白糠町  2365
13  知内町  2386
14  ニセコ町 2405
15  洞爺湖町 2407
16  積丹町  2410
17  鹿部町  2412
18  由仁町  2419
19  余市町  2422
20  長万部町 2438
(出典:毎日新聞4月17付)

これらのうち鉄道のない自治体は、ワースト1位上砂川町、2位歌志内市、4位三笠市、5位喜茂別町、6位古平町、9位壮瞥町、16位積丹町で、計7自治体です。上砂川には函館本線の支線がありましたし、歌志内には歌志内線、三笠には三笠線、喜茂別や壮瞥には胆振線がありました。このように、昔は鉄道があったものの、特定地方線に指定されるなどして廃止になったエリアが目立ちます。

平均所得下位20自治体(ワースト20)全体では、鉄道のある自治体が13、ない自治体が7です。鉄道廃止後、住民所得が低迷している自治体もあるわけです。結論として、鉄道の有無と住民の平均所得に関連はないと言っていいでしょう。

豊かさを決めるのは鉄道ではない

念のために書きますが、人口1人あたりの平均所得が高い市町村が必ずしも栄えている、というわけではありません。平均所得は自治体の豊かさを図る1つの尺度に過ぎないのはいうまでもありませんし、農林水産業は年により所得の増減が激しいことも確かでしょう。鉄道の有無が市町村にどういう影響を及ぼすかについては、人口動態なども含めて、多角的な議論が必要なのはいうまでもありません。

そうした前提の上ですが、結局、市町村住民の豊かさを決めるのは地場産業の強さであって、鉄道の有無は重要ではない、ということです。鉄道好きには、少し残念かもしれませんが。

ローカル線は乗ると楽しいけれど

ちなみに、都市だけに限れば、18位札幌市、20位網走市に続いて、22位に紋別市、33位に稚内市、36位室蘭市と出てきます。札幌市は別格として、高速化の進まない石北線の終点網走市や、名寄線が廃止された紋別市、宗谷線の果てにある稚内市が上位です。

鉄道の維持に無駄な金をかけていない自治体が所得上位に来ているようにみえます。たんなる偶然でしょうが、偶然と片付けてしまうには、なんとなく気になる調査結果です。

何が言いたいかというと、ローカル線は乗ると楽しいですが、その維持に税金を使ったとしても、納税者への見返りは少なそうだということです。鉄道維持に税金を注ぎ込むのは、ほどほどにしておいたほうがよさそうです。

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