中央快速線を12両化しグリーン車を連結へ。中央線にトイレ付き車両が登場。東京駅折り返しはどうなる?

JR東日本の中央線にグリーン車が連結されることになりました。現在の中央快速線のE233系通勤型電車10両編成に2階建てグリーン車2両を追加し、12両編成として運転します。運転区間は中央線の東京~大月間と青梅線の立川~青梅間です。運転開始は2020年度が目標です。

広告

快速線全列車にグリーン車連結

E233系は、2006年から導入されたオレンジ帯の通勤形電車で、中央快速線の主力車両です。このE233系で運行する中央快速線(東京~大月間)のすべての列車に、2020年度までにグリーン車が連結されます。また、中央快速線から青梅線(立川~青梅間)へ直通運転する列車にも連結されます。

連結するグリーン車は2階建てで、座席数は1両90席、2両で180席です。この定員はE231系のグリーン車定員と同じです。したがって、車両の基本的な構造は東海道線など他の通勤路線のグリーン車と同じになるとみられます。当然トイレも付くでしょうから、中央快速線で初めてトイレ付き車両が登場することになります。これを機会に普通車にもトイレを、という発表はありません。

中央線グリーン車イメージ写真:JR東日本提供

東京~西八王子が50km以下

E233系は現在、固定編成(10両)と分割編成(6両+4両)がありますが、ともに東京寄りの4・5両目にグリーン車が連結されます。

グリーン料金は現行水準で50km以下で平日の事前購入で770円。東京からの場合は、西八王子までが50kmに収まります。行楽などで高尾山に行く場合などは、東京発以外ならおおむね50km以下に収まるでしょう。

広告

御茶ノ水駅は工事着工済み

12両編成化にともない、停車駅となる44駅すべてでホーム延伸などの駅改良工事や、線路改良・信号改良工事が行われます。ホーム延伸に関しては御茶ノ水駅が一番のネックとなりそうですが、すでにバリアフリー化を目指した大規模工事が行われており、2018年度までに完成する予定です。おそらくこのバリアフリー工事にあわせて、御茶ノ水駅ホームの12両対応が行われているのでしょう。

それ以外の駅では、神田駅や四谷駅も延伸スペースが厳しそうですが、めどは立っているとみられます。

東京駅での車内整備時間は足りるのか?

気になるのは東京駅での車内整備です。東京駅は1面2線しかなく、電車はわずかな折り返し時間で出発していきます。一方で、グリーン車の車内清掃には5分程度はかかるとみられます。このため、とくにラッシュ時の運転間隔では、東京駅で十分な車内整備時間を確保するのは難しそうです。

東京駅のホームを増設したり、引き上げ線を設ければ解決します。今回の事業の総整備費用は約750億円と巨額ですので、ひょっとしたらそこまでするのか、と考えてしまいます。しかし、現実的にはクロスシートの転換自動化などで対応するのでしょう。あるいは、たとえば車内清掃を神田駅到着時から開始するなどの方法が検討されるとみられます。

早朝・深夜はどうなるか

駅の整備計画は「44駅」と発表されています。これは東京~大月と立川~青梅の中央・青梅快速線停車駅すべてで、杉並3駅も含まれます。つまり、中野以西が各駅停車になる列車にもグリーン車が連結されることになります。

一方で、中野以東の緩行線停車駅は対象外です。水道橋駅や飯田橋駅ではホーム延伸は行われません。

そのため、早朝・深夜の中央線は現在と運行系統が変更されるかもしれません。現在、早朝・深夜に限っては、オレンジ帯の中央線車両が御茶ノ水駅から緩行線を走っていますが、12両化されると、それが不可能になります。

解決策としては、早朝・深夜にも快速を設定するか、早朝・深夜は総武緩行線車両を使用してグリーン車なしの車両が東京駅に乗り入れるかの、どちらかになるのでしょう。

広告
前の記事横浜市営地下鉄ブルーラインの快速停車駅が決定。郊外は各駅停車。「藤沢市民優遇」を避ける?
次の記事宇都宮LRTに東急、広島電鉄、富山地鉄が技術協力へ。運転士養成などを支援。運営主体は別に選定