「阿蘇くまもと空港駅」は定着するか。肥後大津駅に愛称を付与、空港ライナーも本格運行へ

熊本空港(阿蘇くまもと空港)の最寄り駅であるJR豊肥線の肥後大津駅に、「阿蘇くまもと空港駅」の愛称が付与されることになりました。実施は2017年3月4日のダイヤ改正から。4月には、空港アクセスとなるシャトルバス「空港ライナー」も本格運行を開始します。熊本空港の最寄り駅は、空港アクセスの拠点として定着できるのでしょうか。

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「空港ライナー」で15分

JR豊肥線の肥後大津駅は、熊本空港ターミナルの北約7kmの位置にあります。かつては「空港に近くてもアクセスとしては使いにくい駅」でしたが、数年前より、熊本県が中心となって空港アクセスの拠点として整備をはじめました。2011年には空港と駅を結ぶシャトルバス「空港ライナー」の試験運行も開始しています。

「空港ライナー」は、9人のジャンボタクシーと小型タクシーを使用し、ほぼ30分おきに1日54便を運行しています。所要時間は約15分です。

「空港ライナー」の運賃は、無料。JRの熊本駅~肥後大津間の運賃が460円、市電と接続する新水前寺までが370円です。

熊本空港
写真:熊本県ホームページより

1日200人以上が利用

空港ライナーの利用者数は徐々に増えており、2015年度に1日257人と、県が目標としてきた200人台を越えました。熊本地震の影響が心配された2016年度も、10月まで平均216人の利用者があり、2017年度以降、試験運行から本格運行への格上げが決まりました。

年間の運行経費は4000万円で、熊本県、大津町、熊本空港ビルディング、JR九州の4者が負担しています。本格運行後も制度変更はなく、当面、無料で運行されるようです。

本格運行にあわせ、2017年3月4日より、肥後大津駅の愛称として「阿蘇くまもと空港駅」が使われることが発表されました。愛称がどの範囲で使用されるのかは不明ですが、時刻表などにも掲載されるようになると、今後利用者増がさらに期待できそうです。

空港リムジンに勝てるか

現時点で、熊本空港へのアクセスは、「空港リムジンバス」が主流です。

価格と所要時間で、リムジンバスと鉄道を比較してみましょう。空港は市内から離れており、市中心部の熊本交通センターからは約50分730円、熊本駅からは約1時間800円かかります。

これに対し、JRでは熊本駅~肥後大津駅が約40分、空港ライナーへの乗り継ぎを加えて1時間あまりとなります。所要時間では見劣りするものの、空港ライナーが無料なおかげで運賃は安く、定時性では優れています。とくに、熊本駅近辺からの空港に向かう場合は、「JR+空港ライナー」は選択肢となるでしょう。

今後、仮に「空港ライナー」を有料にするとしても、距離からみて運賃は200円程度に収まるため、運賃面でのJRの優位性は維持できそうです。乗り換えの手間もありますから、リムジンバスに勝つのは難しいでしょうが、熊本空港アクセスの選択肢の一つとして定着していくのではないでしょうか。(鎌倉淳)

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