京成「スカイライナー」と南海「ラピート」が絶好調。苦難の歴史も今は昔

東西の私鉄空港特急の両雄が快調

京成「スカイライナー」と南海「ラピート」。東西の私鉄空港特急の両雄が絶好調です。「スカイライナー」はスカイアクセス線開業後、最高の利用者数を記録。「ラピート」も過去最高の利用者数を記録しました。絶好調の理由はインバウンドの増加です。どちらの列車も苦難の歴史があるだけに、関係者の方は感慨もひとしおでしょう。

広告

「スカイライナー」は5年で1.5倍

京成スカイライナーが走り始めたのは1978年5月。成田空港の開業にあわせたものでした。とはいうものの、当時の京成電鉄は空港ターミナル内に入れてもらえず、「成田空港駅」は、現在の東成田駅。駅から空港ターミナルまではバスに乗らなければなりませんでした。

開業当時は京成上野-成田空港間ノンストップが売り物で、日暮里は通過していました。そのため、乗り継ぎ不便な京成上野駅と、空港ターミナルから離れた成田空港を結ぶ、今にして思えば、なんとも中途半端な空港特急としてデビューしています。運行開始直前に過激派の焼き討ちに遭う被害も重なり、運行開始後の人気は今ひとつでした。

1991年に現在の成田空港駅が開業して空港ターミナル地下に乗り入れ開始。東京側のターミナルとして日暮里駅の整備も進め、2010年に成田スカイアクセス線経由になると、利便性が一気に高まりました。

羽田空港の国際化により、一時期成田空港の利用者が減少し、それにともなってスカイライナーの利用者数が落ち込んだこともありましたが、最近のインバウンド増を受けて急回復。2016年度は、スカイアクセス線経由になって過去最高の415万人の利用者を数えました。2011年度(265万人)に比べると、5年間で1.5倍以上になっています。

スカイライナー

「ラピート」は5年で1.9倍

関西空港のアクセス特急南海「ラピート」も、2016年度に過去最高の344万人の利用者を記録しました。2011年度は180万人でしたから、こちらは5年間で1.9倍になっています。

「ラピート」の運行開始は、関西空港開港の1994年。運行開始当初は、斬新なデザインで話題をさらったものの、関西空港の利用低迷が響き、「ラピート」の利用も伸び悩みました。こちらも、当初は難波-関西空港間ノンストップ列車の「α」が看板でしたが、その後、ほとんどの列車が途中停車タイプの「β」に変わりました。

「ラピート」の転機になったのは、2012年です。この年、LCCピーチが就航し、観光ビザ要件緩和政策や、東日本大震災からの復興もあり、観光客が急増します。2011年に1011万人だった関西空港の国際線旅客数は、2012年に1143万人、2013年に1205万人と増え、2016年には1914万に達しました。関西空港のインバウンド利用者の絶対数が増えたことが、最近の「ラピート」の利用者数増につながっています。

南海ラピート

「ラピート」の新車はいつ?

「ラピート」は運行開始から23年が経過し、そろそろ車両更新も視野に入ってきました。朝日新聞2017年8月2日付によりますと、なにわ筋線の開業にあわせて新型「ラピート」を投入する構想があるようです。なにわ筋線開業は2031年春が予定されており、あと14年あります。

地下路線であるなにわ筋線に乗り入れるとなれば、車両には前面貫通扉が必要です。そのため、なにわ筋線開業時には、直通するすべての「ラピート」が、新型へ置き換わっていなければなりません。となると、新型車両はなにわ筋線開業前にデビューし、同線開業時には全ての編成が新型車両に置き換わっているとみられます。(鎌倉淳)

広告
前の記事JR西日本が新観光列車「あめつち」を導入へ。山陰線鳥取~出雲市間で2018年7月に運行開始
次の記事しながわ水族館は「地域密着の実力派」。小さい施設に定番を詰め込んで【水族館レビュー】