エアアジア・ジャパンが2017年9月に中部-新千歳線をようやく開設へ。4年ぶり国内再参入は成功するか

格安航空会社LCCのエアアジア・ジャパンが、2017年9月にも中部-新千歳便を開設することが明らかになりました。日本経済新聞が報じています。遅れに遅れた国内線再参入がようやく実現するようですが、成功するのでしょうか。

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引き続き台北線も

日本経済新聞2017年7月29日付によりますと、エアアジア・ジャパンは9月にも中部-札幌(新千歳)便の運航を開始すると関係者に伝えたそうです。その後、引き続いて中部-台北(桃園)便も開設します。

エアアジアはマレーシアのLCCで、2011年にANAとの共同出資で旧エアアジア・ジャパンを設立し、日本国内線でLCC事業を展開しました。しかし経営方針をめぐりANAと対立し、2013年に全株式をANAに売却して撤退。旧エアアジア・ジャパンはANAの100%子会社となり、バニラ・エアに衣替えしています。

その後、エアアジアは日本国内線の再参入を目指し、楽天やアルペンなどの出資を得て2014年に新しいエアアジア・ジャパンを設立。中部空港を拠点として路線開設を目指してきました。2015年には、中部拠点に、札幌、仙台、台北の3路線を2016年に開設すると発表しています。

しかし、安全管理体制の不備などから延期を繰り返し、仙台線の開設も撤回。いつになったら飛び始めるのか、と懸念する声も小さくありませんでしたが、ようやく就航のメドが付いたようです。

エアアジアジャパン

中部からどこに飛ばすのか

中部-新千歳線は、JAL、ANA、スカイマーク、エアドゥ、ジェットスターの国内5社が路線を開設している激戦区です。2016年度の旅客数は135万人で、中部空港の路線としてはもっとも多いですが、座席利用率は67.1%と高くありません。

中部空港からは新千歳空港を超える有力な就航先もなく、年間30万人以上の旅客数が存在するのは鹿児島線と那覇線くらいです。そのため、中部を拠点とする初のLCCとなるエアアジア・ジャパンは、この後の路線展開には苦労するでしょう。国内線の路線拡大を目指すなら、早晩、成田か関西を第2拠点にせざるを得ないのではないでしょうか。

楽天の協力は?

エアアジア・ジャパンの株主構成は、2015年9月の発表で、議決権ベースでエアアジア・インベストメント33%、楽天18%、ノエビア18%、アルペン18%、フィンテック・グローバル・トレーディング13%です。

注目したいのは、第2位株主として力を持つ楽天です。いまや取扱額で国内2位の旅行会社となった楽天トラベルが、チケット販売にどう協力していくかが、エアアジア・ジャパン成功の一つのポイントになりそうです。(鎌倉淳)

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